使徒捕獲作戦…。私は直感的に危険な作戦と思ったから"私が出るべきだ"と思った…。
でも、実際出るのはセカンド…。
私は死んでも構わない…所詮、代わりがいるもの。でも、セカンドや碇君に死んで欲しくなかった。
だって彼らには代わりがいないもの。
…私のように死んでしまったらそこで終ってしまうもの。
…エヴァのパイロットがいなくなるということではない…
…彼らにはいなくなって欲しくなかった。
私は彼らを失うのが怖い。
…どうしてそう思うのかよく分からない。
ただ、私が彼らと触れ合ってから…少しずつ変り始めた。
…本当は私自身のことも、私以外の人のことも、どうなってしまっても…
いえ、…流れる時には逆らえないからどうにもならないと思っていたのに…。
「レイ。A-17が発動された。
作戦は葛城一尉から説明を受けているから分かっているな?」
「はい。」
私は碇司令のこの言葉にいつも通りに返答した。
…いつも通りの私…。
「しかし、万が一使徒の捕獲に失敗した場合は零号機で使徒を殲滅。
同行している初号機が使徒戦に参戦した場合は可能な限り原形を留めて初号機を回収…。
…以上だ。」
私は碇司令の言っている意味が分からなかった。
初号機を回収? でも今回の作戦では一応初号機はバックアップとして出撃…。
それを"回収"するというのは…。
私のこの疑問に答えるように碇司令は言葉を続けた。
「A-17が成功するとは限らん。15年前がいい例だ。
願わくば、使徒のサンプル回収が出来ればそれでいい。
だが、もしも出来なかった場合は使徒は我々にとって敵以外何ものでもない。
…即時殲滅だ。
一応、UNの空軍に使徒をN2地雷で熱処理するように要請を出した。
だが、使徒相手では蚊に刺された程度の効果もないだろう…。
しかし、どのような状況になろうと初号機だけは回収してくるのだ…確実に。
…分かったな?」
私はこの言葉に何かいいようのない憤りを感じた。
N2地雷で熱処理? そして初号機だけを回収? 弐号機は…セカンドは?
「弐号機は…回収しなくてもいいのですか?」
この私の問いに対して碇司令は淡々と答えた。
「今回は場所が悪い。作戦が失敗した場合は作戦遂行を担当する弐号機のロストはやむ終えんだろう。」
…碇司令は弐号機が無くなってしまってもいいのね…。
もしも、作戦が失敗した場合はセカンドはそのまま…。
「…ならば私が弐号機で出ます。
…司令から葛城一尉に作戦を変更するようにお願いしてください。」
…私は今まで碇司令の命令は聞いても司令に何かを頼んだりすることはなかった。
でも今回は…、分からない、分からないけど、私は何もしないのがとてもイヤだと思った。
しかし、碇司令は私の願いに反した言葉を発した。
「…それは許されない。
お前は今回の作戦では弐号機で出撃させるわけにはいかない。
弐号機はロストしても構わん。
何が起ころうと初号機…そしてレイ、お前は帰ってくるのだ。」
初号機と私…。
そう、碇司令は私を使って"人類を補完"するつもりなのね…。
私は司令の言葉を聞いてなんとも言いがたい気持になった。
そして"自分がヒトでない"ことを思い出させた。
…そう、私は"ヒト"であるけど"ヒト"でない。
決して否定することも拒否することも出来ない事実。
セカンドと弐号機が局地戦用の装備に変更してからすぐにエヴァに搭乗するように伝達された。
セカンドは自分の装備と弐号機の装備を一目見てなんとも形容し難い表情をしたけど私は黙って見ていた。私達パイロットはエヴァに搭乗するとすぐにエヴァ専用長距離輸送機で浅間山まで運ばれた。
空輸されている間に私の頭の中で碇司令の命令の言葉が反芻される。
…弐号機はロストしても構わん。何が起ころうと初号機…そしてレイ、お前は帰ってくるのだ。…
私は輸送中のエヴァの中で前方で局地戦用の装備をして全翼の輸送機に吊るされている弐号機を見た。私は通信回線を開いて弐号機と繋げた。
「セカンド…」
「…何? ファースト?弐号機なら私、降りないわよ?」
セカンドは何かを勘違いしたようにそう答えてきた。
「いえ、違うわ…。
…無理をしないで。」
「…分かってるわよ。」
セカンドはそう言ってそのまま押し黙った。
…私に今言えるのはそのくらいしかない。
…出来ればセカンドの力になってあげたい…。でも、既に命令として"弐号機に乗ってはいけない"と言われている。
…今の私にはどうしようもない…。
長距離輸送機は程なく浅間山火口付近に到着した。
私達は通信で作戦要項の確認をした。
作戦要項の確認の直後にセカンドが葛城一尉に零号機が出撃なのは何故かと問いかけた。葛城一尉は"万が一の為"と言った。それに対して尋ねたセカンドの言葉に…
…自分が作戦に失敗した時のかと尋ねている辺り、セカンドはもしかして私が出撃した理由に気が付いているのかもしれない…けど…
葛城一尉は一言、「碇司令の命令よ」とだけ言った。
…もしかしたら零号機出撃の完全な理由は葛城一尉には伝達されていないのかもしれない…
ふと、上空から爆音のようなものが聞こえてきた。見上げてみると上空にUNの空軍と思われる戦闘機が大きく旋回するように飛んでいた。
「上に飛んでいるの、何ですか?」
碇君が不意に通信で誰にとは言わずに尋ねた。
「UNの空軍が空中待機してるの。」
赤木博士が淡々と答えた。
…赤木博士は知っているのね…。
…でも、碇君は知らないのね。
「…何のため?」
セカンドが不穏そうな声を上げて通信で赤木博士に問いかけた。
…そう、セカンドは知らないのね。
「…後始末よ。私達が失敗した時のね。」
「…それってどういう事なの?」
セカンドが再び問い直す。
しかし、赤木博士は声色を変えずに答えた。
「使徒をN2爆雷で熱処理するのよ。
…私達ごとね。」
この言葉を聞いたセカンドはそのまま押し黙った。
当然といえば当然なのかもしれない。
でも、私はN2地雷で熱処理とは聞いていたけど全てを巻き添えにしてということまでは聞いてなかった。
…碇司令はみんなを犠牲にしてでも使徒を倒したいのね…。
「そんな命令を…誰がするんですか!?」
赤木博士の言葉に碇君が憤慨したような口調で問いかけた。
私はそんな碇君の問いに答えるように言った。
「…碇司令よ…。」
これを聞いた碇君はそのまま黙り込んだ。
弐号機が火口内に下りる為のクレーンに取り付けられた。
進路確保のレーザーが照射された。
溶岩に穴が開くようにレーザーの照射された部分が空洞になった。
「レーザー、作業終了。」
「進路確保。」
「D型装備異常無し」
オペレーターの通信の声が私の零号機のエントリープラグの中まで届いた。
弐号機は何本もの冷却パイプに後ろから吊るされた形でクレーンで火口の真上まで運ばれていった。
「弐号機、発進位置。」
日向ニ尉の声が通信回線から響いた。
そして葛城一尉が出撃の号令を出した。
「―発進。」
クレーンの滑車が動き始め、弐号機はゆっくりと火口内へ降ろされていく。
弐号機が溶岩に近づいたところでセカンドは通信を入れてきた。
「見て見て、ファースト!!シンジ!!」
…?
私は一体何なのか分からなかった。
しかしセカンドはプールサイドで叫んだように言った。
「ジャイアント・ストロング・エントリー!!」
そう言ってセカンドは弐号機の脚を開いて溶岩内へ入っていった。
…そう、そんなにスクーバがしたかったのね…。
弐号機の溶岩内での様子はオペレーターの人たちがモニターしていた。
私は通信で弐号機とオペレーターの人たちの様子を伺っていた。
弐号機から見える映像は零号機の中のモニターにウィンドウが開いて見ることが出来た。モニターに映る溶岩内は黄色のような橙色のような強い光でよくわからない…。
「―何も分からないわ。CTモニターに切り替えます。」
セカンドはそう言うとモニターをCTに切り替えた。
モニターの中は先ほどの明るい画面から暗い画面に切り替わった。
何か壁のようなものに覆われたような映像…。
先ほどよりはましだけど、あまり見通しがよさそうには見えない映像だった。
通信回線から伊吹ニ尉のモニターをしている声が聞こえる。
「深度400、450、500、550、600、650…
…900、950、1000、1020。限界深度オーバー」
この時点で葛城一尉がセカンドに話しかけた。
「アスカ、何か見える?」
セカンドはレーダーか何かで周りを走査したようだったけど通信回線から返ってきた答えはこうだった。
「反応無し、モニターにも何も映らないわ。」
これを聞いたと思われる赤木博士はセカンドに向かって言った。
「予測よりも対流が早いようね。
目標の移動に誤差が生じているわ。」
これを聞いていた葛城一尉はセカンドと周りのスタッフに指示を出した。
「再計算、急いで。
作戦続行。再度沈降よろしく。」
…まだ潜るのね…
私の心に何か暗い影が差したような気がした。
「深度、1350、1400…」
伊吹ニ尉のモニターをする声がそこまで言ったところで別のオペレーターの声が聞こえた。
「循環パイプに亀裂発生」
…私はとても不愉快な気持ちが心の中から湧き上がったような気がした。
「深度1480、限界深度、オーバー」
…限界深度…。
もう限界…。
私はもうこれ以上作戦を続行して欲しくないと思い始めた。
でも葛城一尉はそんな私の思いとは裏腹に静かに言った。
「目標とまだ接触してないわ…。
続けて。」
私の中に湧き上がっていた不愉快な気持ちがどんどん大きくなるのを感じた。
…無理をしてでも作戦を成功させたいの…?
「アスカ、どう? まだ行ける?」
葛城一尉はセカンドにそう尋ねた。
「…まだ持ちそうな気はするわ。
…ってゆーかさ。 こんなのさっさと終らせてシャワーでも浴びさせてよ。」
セカンドはいたって明るくそう答えた。
…大丈夫なのだろうか…。
それを聞いた葛城一尉は先ほどと打って変わった口調で言った。
「近くにいい温泉があるわ。 …終ったら行きましょう」
「…ミサトのオゴリね。」
セカンドはいつもと同じような口調でそう言った。
余裕はないはずなのに…
…そしてしばらくして、通信回線から「エヴァ弐号機プログナイフ喪失」というオペレーターの報告が聞こえた。
…武器を失ってしまった…。
使徒捕獲が今回の作戦だけど…。
私は思った。戦わずに済むはずがないと。
「アスカ…大丈夫?」
碇君が通信でセカンドに向かって尋ねた。
その言葉を聴いたセカンドは怒ったような口調で言った。
「そんな声で話しかけないでよ! 焦るじゃない!!」
「ごめん…」
碇君はそう言った。
そしてしばらくの沈黙が続いたけど突然セカンドはわめくように叫んだ。
「…っもう!たかだか体積が増えたってだけなのに! 大体熱膨張なんて今時古いのよ!!」
セカンドのこの声を聞いて碇君は少し調子を外したような声を出して言った。
「えっ?」
これを聞いたセカンドは先ほどよりも明らかに怒りを込めた声で言った。
「熱膨張!!
モノはあっためれば膨れるのよ!そのくらい知っておきなさいよね!!バカシンジ!!」
だめ。
こんな言い争いをしている場合じゃない。
私はこの二人のやり取りを聞いて思わず言った。
「セカンド。今はそんな事で言い争っている場合じゃないわ…。」
セカンドと碇君はそのまま静かになった。
そうしている内にモニターをしていた伊吹ニ尉の声が聞こえた。
「限界深度、プラス200」
「葛城さん!!」
通信を通して日向ニ尉が叫ぶように言った。
しかしそれを聞いた葛城一尉はまったく動じてない静かな声を出して言った。
「―この作戦の責任者は私です。作戦続行。 続けて。」
…本当はここで作戦を中断して欲しい。
これ以上は無理…危険だわ。
私はそう思ったけれど葛城一尉はまったく怯む様子などは伺えなかった。
…使徒はいずれ、第3新東京市に向かってやってくるのに…
私は使徒を捕獲することになんの意義があるのか疑問に思わざる終えなくなった。
…ヒトを犠牲にしてまで…。
そう思っている間にモニターをしているオペレーターから弐号機が目標予測修正地点に到着したという報告が入った。
そしてそれからほとんど時間を待たずに使徒を発見したアラートが鳴った。
零号機のプラグ内のモニターに弐号機が映している映像が出る。
巨大な繭のような影…。使徒だわ。
「目標を映像で確認。」
「捕獲準備。」
日向ニ尉の言葉に葛城一尉がすかさずセカンドに指示を出す。
画面から見れる範囲で弐号機が電磁柵のアームを伸ばしている様子が伺える。
「…相対速度2.2。軸線に乗ったわ…。
電磁柵展開!!」
セカンドが報告がてらそう言うと、弐号機で掴んでいるキャッチャーを使徒の影を電磁柵の中に包囲した。
作戦は成功したの…?
私がそう思った瞬間…。
ビーッビーッビーッ!!
突然、警告のアラートが鳴った。
一瞬何が起こったのか分からなかったけど、弐号機から送られてくる映像をしっかり見ると電磁柵の中に捕捉されている使徒が形態を変え始めたのが分かった。
…いけない! 動き始めたのね!
「な…何よ、これぇっ!?」
通信からセカンドが叫ぶ声が聞こえる。
赤木博士は叫ぶように言った。
「まずいわ…。孵化を始めたのよ!!」
電磁柵が展開されているキャッチャーの中から使徒がまるでもがくように手のようなものを伸ばし、電子膜を破ろうとしているのがモニター越しに分かる。
「捕獲作戦は中止! キャッチャーを破棄!
弐号機は撤収作業をしつつ戦闘準備!!」
葛城一尉が作戦行動中止と使徒殲滅の命令を出す。
それを聞いたセカンドはキャッチャーのジョイント部分を爆破して破棄した。その様子が零号機のエントリープラグのモニターに映る。
完全に形を変えた使徒が映像越しに分かる。
私は言いようのない焦りのようなものを感じた。
そしてモニターの真正面に使徒が弐号機に向かって来るのが見えた。
「最低っ!!さっきプログナイフ落としたんだ!!」
突然、セカンドが叫んだ。
…いけない! 弐号機のプログナイフは途中で喪失したんだわ…!!
「バラスト放出!!」
セカンドはそう叫ぶ。
と、突然真正面から迫っていた使徒がモニターから消えた。
どうやらセカンドは最初の使徒の攻撃を避けることが出来たようだった。でも、私には弐号機から送られてくる限りの映像しか分からない…これ以上は…。
すると通信から碇君が叫ぶ声が聞こえた。
「アスカ!!今から僕のプログナイフ落とすから受け取って!!」
初号機の方を見ると初号機はプログナイフを溶岩内に投げていた。
そして溶岩内にプログナイフが入ると初号機は今にも飛び込もうとしているように前のめりになった。
…だめ、碇君!!
私は火口口のぎりぎりの辺りにいた初号機の腕を引っ張った。
「な…!?綾波!?」
私はそのまま火口口から初号機を引き離して思うよりも先に溶岩内に飛び込んだ。
「…うっ…!!」
溶岩内はとても熱く、零号機が感じる熱が痛みのように私の全身に襲い掛かってきた。
…熱い…!!
「レイ!!なんて事したの?!レイ!!」
通信越しに赤木博士が叫んでいるのが聞こえたような気がした。
私は熱さと痛みに耐えながらひたすら下を目指して沈降していった。
「…マヤ!!零号機のフィードバックのレギュレーターを
起動限界ギリギリまで落として!!
早く!!」
通信越しにそう赤木博士が叫ぶのが聞こえた。と、同時に全身に感じていた熱さと痛みが先ほどよりも薄らいだように感じた。
私はひたすら下へ下へ向かって降りていった。
モニターが眩しい…!
私はセカンドがやったようにモニターをCTに切り替えた。
…まだ見えない…何処…?!
すぐ側に冷却パイプが見える。私はそれを頼りにひたすら下へと降りた。
そして下の方の冷却パイブの側で巨大な影同士がひたすら揉み合っているのを見つけた。
弐号機は使徒の巨大な口に頭部を半分ほど咥えられるような状態で先ほど碇君が落としたプログナイフを片手で突き立てていた。
巨大で虫のような形の使徒はまったく傷ついている様子はなく、ひたすら弐号機に襲い掛かっていた。
不意に赤木博士から通信が入る。
「高温高圧の極限状態に耐えてるのよ。プログナイフじゃ無理よ!!」
これを聞いたセカンドは叫ぶように言った。
「じゃあどうしろってぇの!?」
私は弐号機のすぐ側まで降りて来たところで零号機のプログナイフを片手に装備すると冷却パイプを掴んで使徒と弐号機の上に勢いよくぶつかった。
…私の掴んでいる冷却パイプの一部から大きな気泡が洩れた。
…破損しているのね…。
その時私の脳裏に先ほどセカンドが言った言葉がよぎった。
私はそのまま使徒にプログナイフを突き立てた。
そして弐号機に…セカンドに向かって今まで出したことのないような大きな声を出して言った。
「セカンド!!さっきの…!!」
セカンドは余裕が無いのか、聞いてないような感じだった。
私はプログナイフを使徒に突き立てながら再び言った。
「…熱膨張…!!」
セカンドは私の言った言葉を理解したのか、使徒を切りつけ、叩きつけていたプログナイフを弐号機の左腕に切りつけ、冷却パイプを切断して、そのまま口を開けて弐号機に襲っている使徒の中へと押し込んだ。
使徒の口から洩れ出た冷却液が気泡になって巨大な泡を作って上の方へ昇っていく。
「冷却液の圧力を3番に回して!!はやくっっ!!」
セカンドが叫ぶと使徒の口から洩れ出ている冷却液の気泡がより多くなった。そして使徒の体は膨れ上がり、右往左往になって暴れ始めた。
私は使徒に突き立てていたプログナイフを大きく振り上げ、強く一突き、刺した。
使徒は私の一撃に先ほどよりも暴れ、そして弐号機の周りを手のようなもので引っかき始めた。そして、力尽きようとした瞬間…、
…弐号機に繋がれていた冷却パイプを一気に引き裂いた。
私はあまりに一瞬の出来事で何が起こったのか瞬間的に把握出来なかった。
…いけない!!弐号機が繋がれていたパイプを…!!
「セカンド…!!」
私は慌てて零号機の手を弐号機に伸ばした。
…しかし、零号機の手と弐号機の手はすり抜けていく…。
弐号機はそのままゆっくりと下に向かって落ちていこうとしている…。
…もう駄目なの…?
私がそう思った瞬間、私の横を何か大きな影が下に向かって通り過ぎるのを感じた。
――そして――
影は落ちていく弐号機をしっかりと掴んだ。
…初号機…碇君?
そう、初号機が落ちていく弐号機を掴んだんだ。
…碇君…、碇君も降りてきたの…?
私が初号機と弐号機を見ていると、セカンドが通信越しに呟くように言った。
「…バカ。無理しちゃって。」
その言葉で私は張り詰めていた気持ちが緩やかになっていくのを感じた。
…そう、良かった…。
私は…多分、この瞬間、今まで感じた事が無かった安堵感というものを感じていたと思う。