ねぇねぇ、こんな話があるんだけど知ってる?
え? 別に聞きたくない?
んっもう! 面白い話なんだからさぁ。ちゃんと聞きなさいよ。
さてと、名前はストレートに出すとマズイから……
そうね、登場人物はとりあえず、その辺にいるヤツラを使うわ。
この話は愛にまつわる話。そう、恋愛モノよ!
じゃ、いっくわよ~!
そう言って私こと洞木ヒカリの親友、惣流・アスカ・ラングレーは話し始めた。
これは彼女が紡ぐ18の物語……
シンジはその日一日中、そわそわしていた。
実は彼には好きな子がいるのだが告白出来ないでいた。
好きな子の名前は同じクラスの惣流・アスカ・ラングレー。ドイツから来た転校生だ。
名前からしてドイツと日本のハーフか何かのようだが、(実際はクォーター)外観は金髪、蒼眼、白い肌、そして若干14歳でドイツの大学を卒業する優秀さ、そして人に好かれる快活さなど、全てにおいて優秀で、平凡なシンジにとっては高嶺の花だった。
しかし、ある日の放課後、シンジは下駄箱の側で一般平均よりもいい顔をした男子生徒に呼び出されていたアスカを見た。
シンジはその様子が気になって男子生徒とアスカの後をつけた。
「惣流さん、僕……君の事が好きなんだ。――付き合って欲しい。」
どうやらアスカは告白を受けていたようだった。
「ちょっと待って。 私……そういう事、考えた事無かったの。……お願い、考えさせて。」
そう言ってアスカはこの男子生徒と別れた。
彼らから見えない位置に立って話を聞いたシンジは、居ても立ってもいられなくなった。
……惣流は付き合うとか考えた事が無いと言った。
……でも、完全には断ってない。
……もし、もし、O.K.の返事でもしたら……?
この時、シンジは決意をした。
このまま何もしないで後悔するくらいなら明日、惣流に告白しよう……
次の日、シンジは朝早く教室に来ていた。
今日は都合のいい事にアスカが週番で教室に早めに来る日だったのだ。
シンジは黒板の側に立ってじっとアスカが来るのを待っていた。
ガラガラ
教室の戸が開く音がした。
……惣流だ……
週番のため、早々に学校に来ていた金髪の少女は教室の黒板の前に立っているシンジを見て、一瞬驚いたような顔をした。
「お、おはよう。惣流。」
シンジは戸口で立ったままでいるアスカに挨拶をした。
「アンタ……碇君だっけ? 朝早くにどうしたのよ? 」
アスカが尋ねると、シンジは右手を開いたり閉じたりして視線を泳がせながら少しどもりがちに言った。
「あの、その、惣流と話がしたくってさ…… ちょっとだけの時間……いい……かな? 」
「別にいいわよ。」
シンジの言葉に対して即座に答えたアスカだが、シンジのそわそわしたような様子に、訂正するように口を開いた。
「その様子だと、ここで話すような事じゃないわよね? ――いいわ、屋上に行きましょう」
シンジにそう言うと、アスカは持っていた鞄を自分の机の横に掛け、教室の外へと出て行った。
予想外の彼女の反応に、シンジは呆気に囚われてしまった。
「ほら、早く! 」
アスカが廊下から呼びかけて来た。その声にシンジは我に返り、慌てて後を追うように教室を出た。
早朝の強い日差しが斜め横から照りつける屋上。朝も早い為か、誰一人として居なかった。
居るとしたらシンジとアスカの二人だけで、彼らの話を聞く者も、その様子を見る者も居なかった。
「で、話ってなぁに? 」
アスカは夏の風に金色の髪をなびかせてシンジに尋ねた。
シンジはそんなアスカをまぶしく見ながら深呼吸して言った。
「惣流は…誰かと…その、付き合いたいとか…思う? 」
「今のところはあんまり思わない。けど、分からないわ。」
シンジはこの言葉を聞いて生唾を飲んだ。
もしかしたら? そんな期待感と、今直ぐに自分が何かしらの行動を起こした時にアスカが自分の期待とは裏腹の言葉を発するのではないのかと。もし、そうなった時に自分はその言葉に堪えられるかどうか判らない。
「もし……もし、誰かが付き合って欲しいって言ったら……付き合う? 」
シンジは慎重に言葉を選んで聞いてみた。
アスカは一瞬間を置いて、そして言った。
「……付き合うかもね。」
この言葉に、シンジは迷った。
アスカは今の所はあまり誰かと付き合いたいと思わない。
でも、付き合って欲しいと言われれば付き合うかもしれない。
どうしよう?
「ねぇ、アンタの話ってそれだけなの? 」
アスカが眉をひそめ、業を煮やしたように訪ねた。少なくとも彼女の様子は今のシンジにとってはそう見えた。
このままでは相手の気分を損ねてしまう。あまり話を引き延ばすわけにはいかない。
そろそろ心を決めなくてはいけない。
……どうせ、玉砕覚悟なんだ。
アスカから目をそらし、押し黙っていたシンジだが、意を決してアスカに向き直った。
「僕……僕、惣流の事が好きなんだ。……付き合って欲しいんだ。」
これを聞いたアスカはくるりとシンジに背を向けて屋上の手すりに手を掛けた。
シンジはその様子を黙って見ていたが、たまらなくなり、アスカに尋ねた。
「駄目……かな? やっぱり。」
それを聞いてか、聞かずか、アスカは一言呟いた。
「――私の事、惣流なんて呼ばないで。」
「え? 」
何のことなのか判らない。シンジは呆気に囚われた。
そんなシンジに、アスカは振り向いて再び言った。
「惣流って呼ばないで。」
「あ…あの…それって…? 」
……駄目って事……かな?
一瞬シンジの心に暗い影が押し寄せた。
だが、それとは裏腹にアスカの方はうっすら笑みを浮かべて言った。
「アスカって呼んで。」
「え? 」
「私の事、"惣流"でなくて"アスカ"って呼んで…」
そう言い終えるかいなか、アスカはシンジの胸元に飛び込んだ。
彼女が飛び込んできた勢いでシンジの体がふらつくが、何とか倒れずに頑張った。
一体何が起きたのか判らない。
「いいよ…… アンタと付き合う」
シンジの胸の中でアスカが甘く切ない声でつぶやいた。
思いも寄らない彼女の言葉に、シンジは少しのあいだ呆然としていたが、胸元に顔を埋めるアスカの髪が自分の目の前で風に揺らめいているのを感じた時、彼女が自分の事を受け入れた事に気付いた。
……女の子の甘い、いい匂い……
シンジはそのままアスカの髪をそっと撫でて抱きしめた……
でぇ、この後にファーストや、ミサトや、マナや、マヤや、リツコとか、色々と障害物が現れたりするけど結局シンジと私……じゃない、アスカは幾多の苦難を乗り越えてラプラプハッピーエンドになりました~♪
っと。
シンジが告白してくるなんて。
もういや~んってカンジ?!
くねくねくねくねくねくねくねくねくねくね
「あの、ちょっと? アスカ? 」
私はトリップしかけたアスカに話しかけたけど彼女はまるで聞いてはいなかった。
END