「屋上よ。飛び降りて死んでやるの。あいつの努力を無にしてやる」
アスカが、醜く顔をゆがめる。
「なんてことを」
「馬鹿なこと言わないで」
「アスカちゃん、駄目」
ミサトもリツコもマヤもアスカをしかりつけた。
「止めても無駄よ。今邪魔できても、いつだって出来るわ。24時間365日アタシを監
視続けられるわけないもの。監禁しても無駄よ。舌を噛むぐらいできる。それともベッドに四肢をくくりつけて、さるぐつわでも噛ませる? そうしたら、断食してでも死んでやるわ」
アスカは、冷たい笑いを見せる。
「シンジくんがどうなるかわかっているの? 」
マヤが頭を振りながら詰問する。
「わかっているわ。アイツのことだもの。アタシの自殺を知ったら、後追いしてくれるでしょうね」
これはアスカの女としての自信。
一人の男に命を捨てさせるほど必要とされている。アスカはようやく、女という性を自分のプライドの一つとして受け入れた。
「それでもいいの。死んであの世で一緒になれるんだから。アタシは、シンジが欲しい。アイツのすべてが欲しい。他のものはなにも要らない」
アスカは、シンジを渇望していた。
「どうしろというの? 」
ミサトが問う。
アスカは言ったことをやる人間だとみんな知っている。
「あいつを呼び返して。そして命令するの。アタシが自殺しないようにずっと見張れって。
昼も夜もすぐ傍でね」
アスカが、婉然とほほえんだ。その微笑みは、すでに女のものになっている。
「それって、プロポーズ……」
ミサトが、あきれる。
「借りは10倍にして返す。アタシのルールを忘れたとは言わせない。覚悟しなさい、馬
鹿シンジ。逃がすものか」
驕慢に胸を反らしたアスカは、使徒を前にしたときよりも闘気にあふれていた。
「さあ、シンジを呼び返す手配をしなさいよ」
アスカが、せかしたが、ミサトもリツコも顔を見合わせただけで動こうとしない。
「どうしたのよ。さっさとしなさいよ。それともなに? アタシを死なせたいわけ? 」
アスカの声がとがる。
「そんなわけないでしょ。ここでアスカに死なれたら、私たちは、人類の庇護者を2人も失うことになるのよ」
リツコがアスカを落ち着かせようと穏やかな声でしゃべる。
「そうよ。世界の命運を押しつけた贖罪を、私たち大人はまだしていないの。お願いだから、アスカ。冷静になって。自殺なんかして良いことはなにもないわ」
ミサトが必死でアスカを抑えにかかる。
「自殺が逃げでしかないことぐらいわかっているわよ。でもね、アタシは知らなかったとはいえ、シンジを追いつめてしまったの。オーバーザレインボーの上で出会ってからずっとアタシのことを見ていてくれたのに」
アスカも泣き声になっている。
「だから、アタシは謝らなければならないの。シンジに許してもらいたいの。でなければ、アタシはシンジに好きという資格さえないのよ」
「アスカ……」
すっと近寄ったミサトがアスカの肩を抱いた。
「心配しないで、シンジ君は、ずっとアスカのことが好きだからね」
「なんか、気に入らない言い方ねえ。まるで、アタシがシンジと会えないような気配がするんだけど」
アスカの聡明な頭脳は、3人の大人の雰囲気が、妙に変化したことを感じた。
「そ、そんなことはないわよねえ、リツコ」
「え、ええ。アスカの気の迷いよ。そうでしょ、マヤ」
「せ、先輩、わたしに振らないで下さいよぅ」
3人とも妙に声が震えている。
アスカが壁を拳で叩いた。鈍い音が廊下に響く。
「誰でも良いわ、殺されたくなければ本当のことを言いなさい。シンジはどこ? 」
アスカの顔が鬼のようになっていた。
「うっ……リツコぉ」
「ミサト、あなたが言いなさい。保護者なんでしょ」
「そうですよね、葛城三佐のお仕事です。あっ、わたし、仕事があったんです。これで失礼します」
マヤがくるりと背中を向けた。
「そうはいかないわよ、マヤ」
アスカは素早くマヤの背中に回ると、制服の襟首を掴んだ。
「ぐっ」
マヤの首が絞まる。
「は、放して……」
「言っとくけどね。二度も首を絞められたアタシにためらいはないわ」
戦闘訓練を受けていたアスカの力は、その見た目の華奢加減と違って、かなり強い。
空中に浮かされたマヤがもがく。
「わかった、わかったから、マヤを降ろして」
リツコが、悲鳴をあげた。
「ゆっくりとお話を聞かせてもらおうかしら」
アスカの発する殺気に、ネルフを代表する三人の美女は、人形のように頷くしかなかった。
場所を変えようというアスカの提案で4人はミサトの執務室に腰を落ち着けた。
「さて、これ以上アタシに隠し事をすると、どうなるかわかっているんでしょうねえ」
マヤが淹れたコーヒーには手もつけず、アスカが口火を切った。
「わかったわ。アスカならここで隠してもどうやってでも情報を手に入れるでしょうからねえ。その過程でおこる損害を考えれば、今教えたほうが論理的、いえ、経済的だわ」
リツコが最初に降参した。
「で、シンジはどこ? 呼び戻せるんでしょ? 」
「そういうわけにはいかないのよ。シンジ君の居場所は、私たちにも確定できないわ」
「どういう事よ、この期に及んで、アタシをだませると思っているの? 」
アスカの怒りに火がつく。
「嘘じゃないわ。シンジ君の身柄は、ネルフから国連に移ったの」
「はあ? 転校しただけじゃないっていうの? 」
アスカが妙な顔をした。
「最近、ネルフに来てないでしょ、アスカ。だから知らなかったんだと思うけど、シンジ君はね、世界の救世主になったのよ」
「あの根暗で内罰的で冴えないバカシンジが? 」
「よくそこまで言えるわね」
リツコがあきれる。
「いいのよ。シンジはアタシのものなんだから、どんな風に呼んでも問題ないわ」
アスカは悪びれない。
「たしかに、アスカがシンジ君をどう呼ぼうが、それは二人の間のことだからいいけど。対外的には、シンジ君はゼーレの策謀から人類を救った救世主なの」
「まあ、サードインパクトを無事に納めたんだから、当然といえば当然だけど。で、アタシは? アタシも救世主とか、女神とか言われているわよね」
アスカが胸を張った。
「いいえ、アスカとレイは、表に出していないの」
「なんでよ? 」
「シンジ君の願いだったのよ」
リツコが応えた。
「自分だけが、ヒーローになりたかったというわけじゃなさそうね」
アスカもシンジの真意を知ったいま、妙な嫉妬は起こさない。
「動物園の珍獣にしたくなかったのよ、アスカとレイを」
リツコが口にした例えで、聡明なアスカは悟った。
「見せ物にされないようにってこと? 」
「ええ。使徒戦役が終わりゼーレも消えたわ。ネルフの存在自体が議論されているときに、特務権限など絵に描いた餅より、安いわ。国連、いえ、世論の情報公開にネルフは対応せざるをえなくなった。そして、世界がもっとも欲しがったのは、エヴァンゲリオンの操縦をしていたチルドレンのこと。人々は、子供たちに命がけで戦わせていたという負い目を、英雄として讃えることで薄めようとしたわけ」
ミサトがリツコの後を受けて説明した。
「英雄に祭り上げられるのがどういうことか、わかるわよね? 」
ミサトの問いにアスカは首肯した。
英雄になるのは難しいが、英雄であり続けるのはもっと困難なのだ。
世界的な救世主ともなると、みんなに顔を知られている。それこそ、何処へ行っても、なにを買ったも、食事はなんだったかまでも見つめられるのだ。
いや、一挙一動を見張られると言うべきか。
そうなれば、自由に外を歩くこともできなくなる。
ましてや、人間関係などとんでも無いことになるのだ。
英雄だけではなく、その相手が世界中の好奇の目にさらされる。プライバシーなど有ってないようなものだ。素行から嗜好まであらいざらい暴かれるのだ。
そういう目に遭うと知って英雄と交友関係を結ぼうとするものは、まず、英雄を利用して何らかの利を得ようとする輩がほとんどとなる。
「孤独と人間不信に陥るわね」
リツコが淡々と言った。
「本当の友達を失い、周りにいるのは、友達や親戚という仮面をつけた亡者ばかり、それにアスカは耐えられる? 」
ミサトが訊く。
アスカは、首を左右に振った。
「まあ、使徒戦役の間、あなた達を家族だと言って、コントロールしようとしていた、あたしが言えた義理ではないけど」
「あの馬鹿、まだ、アタシたちを護っているのね」
アスカが、涙声になった。
「そこまでシンジ君は、アスカとレイのことを大切に思っているのよ」
マヤが、アスカに優しい声をかけた。
「ちょっと待って」
アスカの声が変わった。
「ファーストとはシンジはどういう関係なのよ? アタシが、シンジとアンタたちの策略でシンジ嫌いになっていた間に何かあったんじゃないでしょうね? 」
アスカが涙で濡れた目を光らせてリツコをにらんだ。
「ないわ」
リツコが言い切った。
「間違いないの? シンジはずっとファーストのことを気にしていたわ」
「それは当然だわ。だって、レイは、シンジ君の妹だから」
「わけのわかんないこと、言うんじゃないわよ。適当なこと言ってごまかそうとしているんじゃないでしょうね」
アスカが激した。
「そうか。入院していたからアスカは知らなかったのね」
ミサトが、口にした。
「レイはね、シンジ君のお母さん、ユイさんのクローンなのよ。嘘じゃないわ。そのクローンを造ったのは、私の母、赤木ナオコで、クローン体の維持をしていたのは、私だったから」
リツコが話した。
「ファーストが……」
アスカが絶句した。
「だからシンジ君とレイの間に、恋愛感情も肉体関係もないわ」
「先輩ふけつです」
肉体関係という言葉にマヤが反応した。
「そう、なら、アタシに敵はいなくなったという事ね」
アスカが胸をなで下ろした。
レイは、アスカに劣らない美少女である。その上、アスカよりもシンジとのつきあいは長い。
アスカは、シンジとレイが親しくしている様子を、何度となく見せつけられた。
ディラックの海から帰還したときは、アスカよりもレイが先にシンジの見舞いに行っていた。
そして、アスカがエヴァを動かせなくなったとき、シンジとレイが仲良く寄り添って帰るのを見て、自分の居場所を失ったと勘違いしたアスカは、コンフォートをでて壊れたのだ。
シンジのことを好き、手に入れたいとあらためて認識したアスカにとって最大の脅威はレイである。
その脅威が取り除かれたのだ。アスカが喜んだのも当然であった。
「敵がいなくなったねえ……」
ミサトが妙な笑いを浮かべる。
「その通りだけど……」
リツコが、まじめな顔をする。
「もっと、たちが悪いかも……」
マヤが、首をすくめる。
「その奥歯に物の挟まったような言い方は、止めなさいよ」
アスカの短い堪忍袋の緒が切れた。
「全部白状なさい」
アスカの怒声に3人が盛大にため息をついた。
「どうする? ミサト」
「しゃべるしかないわよ。それに今ならまだ間に合うかも知れないし」
「先輩、国連から聖地の選定が終わったとの報告もまだです」
3人が、内緒話を始めた。
「アンタたちどうしても、アタシに殺されたいらしいわねえ。戦略自衛隊の一個師団を壊滅させたのよ。今更3人ぐらいカウントが増えても、誤差の範囲よ」
アスカがぶち切れた。
「わかった。わかったから。まだ、二階級特進はしたくないから」
ミサトが両手をあげた。
「話しなさい」
アスカが、うながした。
「さっきも言ったわよねえ。シンちゃん世界の英雄になったって」
「ええ」
「世界の英雄に価値を見いだす人が、いるのよねえ」
「シンジを利用して金儲けしようとする人とか? 」
「金儲けとか詐欺とかだったら、MAGIで破壊できるわ」
リツコが、ぐっと力を込めていった。
「破壊って……普通、そういうときは、邪魔とか防御とか言うんじゃないの? 」
「ふふふふ。シンジ君を食い物にしようとする輩は、破壊されて当然なのよ」
「わかったから。ね。リツコ、目つきが怖い」
アスカが、一歩身をひく。
「金儲けじゃないとしたら、政治的にね」
「そう。サードインパクト以後、国連はゼーレの傀儡であったことがばれて、世界の主導権を失ったわ。今じゃ、世界の代表が集まるサロンでしかない。となるとこの混乱を乗り切るために何処がリーダーシップを取るかと言うことになるわ」
「それで? 」
アスカがミサトに先をうながした。
「そして、この混乱を納め、バレンタイン条約を再び締結させた国が、将来の世界統一政府の中心となることは間違いない」
「そうね。でも、もう決まったようなものじゃない? サードインパクトを無事に終わらせたネルフ本部があるのは日本よ」
「日本は駄目なのよ。なんせ、ゼーレの命令でネルフ本部を襲ったからね。同様に、エヴァ量産機を出した、アメリカ、中国、ロシア、ドイツ、イギリス、インド、フランス、アラブ首長国連邦もね」
「実力国家は全滅ね」
アスカが、笑った。アスカにしてみれば、自分を傷つけた国ばかりだから、いい気味なのだ。
「かといって、カナダやオーストラリア、イタリア、韓国辺りじゃ、世界を抑えこむだけの力がないわ」
「それと、シンジがどう関係するわけ? 」
アスカはいい加減うんざりし始めていた。
「そこでシンジ君を世界連邦政府の象徴にして、彼の元で人心を一つにして、この危難を乗り切ろうということになったわけ」
「別に良いじゃない。アタシとシンジの間には関係ない話だし」
「それが違うのよねえ」
ミサトが、頬を掻いた。
「シンジ君は、世界の英雄として祭りあげられることになるの。いわば、世界教の教祖になっちゃうの。で、宗教の世界じゃ当然のことなんだけど……不偏不党を貫き通して貰うために……」
ミサトが口ごもる。
「早く言いなさいよ」
「シンジ君には、生涯独身を貫いて貰うことになっちゃったのよねえ」
ミサトが、両手を顔の前で合わした。
「結婚するとね、どうしても奥さんの関係の係累が増えるでしょ。今のシンジ君は両親ともに亡くなっているし、親戚もいない。天涯孤独だから、世俗に縁がないわけ。都合良いのよ、世界救世主としてね」
「はあ? なにを言っているのよ。そんなこと誰が許したのよ」
アスカがあきれかえった。
「最初、この話が来たときはね、一生やもめ暮らしなんて条件ついてなかったから、いい話だと思ったのよ。だって、そのころのシンジ君、アスカに憎まれて、クラスの女の子に嫌われて、悲惨だったじゃない。だから、世界の英雄にでもなれば、女の子も寄ってきて、アスカのことを忘れるんじゃないかなって。世界となればさ、アスカより美人だっているだろうし」
「馬鹿じゃないの? ミサト。アタシ以上の天才美少女は、この世にいないわ」
アスカから殺気が放射される。
「話が来たときにね、妙なことを訊くなとは思ったのだけどね、シンジ君のやつれようが気になって、そこまで深読みできなかったのよ」
リツコが、悔しそうな顔をした。
「妙なことって、なによ」
「キスの経験はあるかとか、セックスの経験はあるかとか」
「で、シンジはどう答えたの?」
「セックスは未経験、キスは二度って……」
リツコが告げた。
「待ちなさい、なによ、その二度って。アタシは一回しかシンジとキスしてないわよ」
アスカが、リツコの言葉を遮る。
「ごめんちょ。もう一回は、あたし」
ミサトが、小さく手を挙げた。
「なんですってえええええ」
アスカが怒髪天をついた。
「いつ、どこで、どんな風にやったの? 微に入り細に入り言いなさい」
「量産機が来たときに、あたしさ、戦略自衛隊の襲撃でさ、ちょっと傷を負っちゃって、もう駄目かなと思ったんで、シンジ君を見送るときに、この世の名残にちょっと、美少年の唇を味わっておこうかなって……」
「ミサトぉ……家族のキスでしょうね」
「へへへへ、ごめん。舌入れちゃった」
ミサトがてへっと頭に手を当てて笑った。
「コロス。絶対コロス。アタシでさえ、まだシンジの唇に触れただけで、唾さえ味わってないと言うのに……この年増、垂れ乳、ビール腹」
アスカが真っ赤になってわめいた。
「うっさいわねえ。好きなのに好きとも言えない小学生みたいな小娘とのキスだけじゃ、死ぬかも知れない戦いに赴く男が可哀想でしょうが。ここは、魅力的なお姉様が、手ほどきをしてあげるのが情けっていうものでしょうが。時間さえあったら、もっと良いことも教えてあげたのに……」
「うるさい。そのたばこ臭い口でシンジを、シンジを……あああん、シンジのすべての最初は、アタシでなきゃだめぇ」
アスカが泣き出した。
「シンジを返してよ、アタシのシンジを……」
「はいはい。もういいでしょ。ミサトもアスカと本気で争わないの。アンタとシンジ君じゃ、ダブルスコアなんだから」
リツコが止めに入る。
「アスカも泣きやんで。そんな暇ないはずよ。シンジ君が、世界救世主として人々の前に姿を現したら終わりなのよ。ローマ法王よりも警戒厳重になるわ。もう、誰もシンジ君に近づくことはできなくなる」
「間に合うの? 」
アスカが涙声で問う。
「まだ、発表はされてないわ。たぶん、シンジ君をどこの国に居住させるかで、各国が綱引きをしているはず」
不偏不党といったところで、シンジが住む国が有利になるのは当然である。世界救世主を人質にしているようなものだからだ。
「その間に、シンジ君を探しだして救い出さなきゃ」
「何処にいるかわからないの? 」
アスカが小さな声で尋ねた。
「国連事務総長が、シンジ君を隠してしまったのよ。たぶん、ゼーレの傀儡だった自分の罪を無かったことにさせるための取引道具としてね」
リツコが応える。
「アスカ、覚悟は良い? 時間との競争になるわ。シンジ君を取り返したいなら、あなたは、今得ている友人とか、学生生活を捨てなければならない」
「そんなもの、いらない」
アスカは、うなずいた。
「なによりも、アスカ」
リツコの目が厳しくなった。
「傷ついたシンジ君の心を癒さないといけないの。いいこと? 今までのように照れ隠しだとか、素直じゃないからとかは、通じないわ。たぶん、チャンスは一度だけ。そのとき、アスカがシンジ君に心から好きですと伝えられなければ、終わりよ。シンジ君はアスカに嫌われていると思いこんでいる。アスカの態度によっては、追い詰められ、自暴自棄になって、自分から救世主の就任を宣言してしまうかも知れない」
「わかっている。もう、意地は張らない」
アスカが、真剣な顔で首肯した。
「いい顔しているわよ、アスカ。恋と狙撃は同じ。きちっとハートを射抜かないとね」
ミサトが、アスカの涙を拭きながら告げた。
「任しておいて、射撃は得意なんだから」
アスカが、ようやく微笑みをうかべる。
「さて、そうなったら、忙しくなるわよ。マヤ、MAGIを使ってシンジ君の居場所を探し出すわ。スパイ衛星を全部支配下に納めなきゃ行けないし、世界中にある監視カメラの映像も解析しなければ……」
リツコが、生き生きとしだす。
「はい、先輩」
マヤも力強く同意する。
「あたしは、作戦を考えるわ。使徒戦役を勝利に導いた天才的な戦術を見せてあげる」
ミサトが胸を張る。
「じゃ、アタシはなにをすればいいの? 」
アスカが質問した。
3人の女性たちは、それを聞いてにっこりと笑うと、声を揃えて言った。
「一撃でシンジ君をおとせるように、女を磨きなさい」