惣流・アスカ・ラングレーは、碇シンジの寝室で音を刻み続ける掛け時計を見た。
「6時半か。シンジの載ったシャトルが空港に着くのが6時。手続きと荷物を受けとるのに30分。空港からシャトルバスで40分、バス停から歩いて8分。シャトルが遅れてないのは確認済みだから……シンジがこの部屋のインターホンを鳴らすのは、48分後」
アスカは己が最後の一枚も脱いで生まれたままの姿であることを、自らの目で確認した。
「身長165センチメートル、体重42キログラム、バスト87のE、ウエスト54、ヒップ88。そこらのグラビアアイドルごときに負けはしない」
アスカは自慢のバストを両手で交差するように包んだ。
「トップの位置は高校時代から1ミリ足りとても垂れちゃいない。脚の長さだって、90センチはある。一つ一つのパーツを取れば、アタシを凌駕する女は居るだろうけど、一つとして見たとき自慢じゃないけどアタシに勝てるプロポーションを持つ者は居ないわ。かろうじてミサトが肩を並べられるか知れないけど、もうミサトも37歳、補整下着無しじゃ、バストもヒップも下垂してる。自信を持ちなさい、アスカ。シンジの周囲にいる女のなかで、アタシが一番」
アスカが、自分に言い聞かせる。
使徒戦役で壊れる原因となった一番へのこだわりを、未だにアスカは持っていた。もっとも成績や業績などではない。シンジにとっての一番である。
「美しき守護女神」「紅き美姫」「麗しの救世主」
アスカを讃える表現は、いくつもある。碇シンジとの婚約が公表されてからも、声をかけてくる男は腐るほどいた。現に今日も戦略自衛隊からネルフへ連絡官として派遣されてきた三佐が、アスカを食事に誘った。結婚式が今週末に控えていることを知りながらである。
もっとも鼻も引っかけてやらなかったが。
アスカも己の魅力は十分に知っている。それでも不安がぬぐえないのは、綾波レイの存在が気になっているからだ。
碇ユイとリリスの融合したクローン体。アダムをその身体に吸収し、サードインパクトを引きおこす第二使徒。
ネルフ最大の機密であった綾波レイは、サードインパクトで育ての親である碇ゲンドウではなく、初恋の相手碇シンジを選び、人類絶滅を防いだ。
サードインパクトを経て、もっとも変化したのは綾波レイかもしれない。シンジは、人に流されることをやめ、アスカは戦闘的な性格を改善した。それ以上にレイは変わった。
レイは、すべての記憶を失う代わりに、完全な人間になった。
アスカにとって、それは恐怖の始まりであった。
サードインパクトを越えて、生き残った三人のチルドレンは、保護という名目で日本政府に監禁されていた。
政府の目的は、未曾有の天災、サードインパクトの責任を子供達に押しつけることである。
事情聴取に名前を借りた誘導尋問はすぐに始められたが、それはシンジにだけであった。
ネルフ総司令碇ゲンドウの息子であることがかかわっているのは確かであるが、シンジ以外の二人が尋問に耐えられなかったからだ。
アスカは量産型エヴァンゲリオンとの戦いで受けた傷が深く、立ちあがることができなかった。そして、綾波レイは記憶を無くしていた。
レイの記憶喪失は、日常生活にまでおよんでいた。食事をすることはおろか、排泄も自力ではできない。そう、ちょうど生まれたての赤ちゃんのような状態になっていた。
シンジは身動きできないアスカの世話と、赤子に返ってしまったレイの面倒を見ながら、日本政府の尋問に応じるという生活になった。
14歳の少年にとってかなりの負担である。シンジが尋問に耐えるだけの体力をうしなった。その結果、政府はレイを、別の施設で傅育することにした。
シンジは必死に反対した。
「綾波の面倒は僕がちゃんと見ますから。一緒にいさせてください」
シンジの嘆願は、あっさりと否認され、抵抗むなしくレイは連れて行かれたが、アスカの心にそれは小さなとげを残した。
シンジの必死さがアスカの精神をいらだたせた。
「無敵のシンジさまは、人形女がお好みのようで。残念ね。せっかくファーストが、あんたの思い通りになる完全な生き人形になったのに、あっさりととりあげられちゃってさ」
アスカは毒のある言葉でシンジをあざ笑った。
「大好きなファーストの裸がみれて、いや、身体に触れてうれしかったでしょう。とくに、眠っているか、意識がないかの女にしか興奮しない変態のアンタはね」
アスカは、シンジがかつて病室で行った自慰行為をあげつらって罵った。
「そんなんじゃない。綾波は仲間なんだ。その綾波をあんなわけのわからない、命をかけて戦ったことさえない連中に取られるなんて……」
悔しげにベッドを叩くシンジに、アスカはみょうな安心感を覚えていた。
それ以降、解放されるまでレイの姿を見ることはなかったが、アスカは思い出したように名前を呼んで落ち込むシンジにいらだちをつのらせていった。
アスカとレイは、まさに火と水であった。存在を主張しようとするアスカと、無に返ることを目的としているレイでは、合うはずもない。
アスカにとって、レイはシンジ以上のライバルであった。
まず、同性というのがあった。セカンドインパクトを経た人類は、性差以上に個人能力差の重要性を認識していた。なればこそ、葛城ミサトは作戦本部長たり得たし、赤木ナオコ、惣流キョウコ、碇ユイ、の三女性も東方の三賢人と讃えられた。
だが、性差は依然としてあった。アスカがシンジに抱いた反発の一つはそこに起因していたが、同性だからこその妬みや恨みはさらに強かったのだ。
ファーストチルドレン、世界で最初の適格者。
なによりも願った一番という呼称を、永遠に奪い去った存在。
アスカにとってレイは、顔をあわす前から、不条理な憎しみをぶつける相手でしかなかった。
ドイツにいたために、使徒戦への参戦が遅れたアスカ唯一の安らぎが、レイがシンクロに失敗し、実戦参加できていないことにあった。
レイが、これ以上エヴァのパイロットとして称賛されることを許さないアスカにとって、急場しのぎに呼びだされたシンジなど最初から眼中になかった。
第三使徒サキエル、第四使徒シャムシェルの撃破マークが、レイにつかなかったことは大きかった。しかし、第五使徒ラミエル戦は、アスカにとって気になる戦果となった。
シンジが剣でレイが盾。二人の協力で使徒が殲滅された。アスカにとってこの情報は大きなものとなった。
レイとの決着をつける上で、シンジが重要なキーパーソンになることがわかったのだ。
三体の使徒迎撃の実績を持つサードチルドレン。彼を取りこんだ方が、使徒戦を支配する。
アスカはシンジを己の配下とすることに決めた。
「男なんて、馬鹿でスケベでサイテー」
父親によって、男性不信に陥ったアスカは、日ごろからこう公言してはばからない。同時に、これはアスカが男の本質を見抜いた、女である証明でもあった。
そして、アスカは自分が、異性から好まれる容姿をもつことを十二分に認識していた。
太平洋の上、空母オーバーザレインボーまでシンジが迎えに来るとの情報を得たアスカは、シンジを虜にするための作戦を考えた。
まず、最初に自分の存在を、大きく印象づけなければ意味がない。
数ヶ月にわたる航海で十分に体験した、甲板上の突風。それをアスカは利用することにした。 風にあおられてめくりあがったスカート、その下に見える小さな布。思春期の少年が、目と同時に心も奪われるであろうアイテム。
アスカにとっては一枚数ユーロしかしない、なんのへんてつもないショーツ。それが男の子にとっては、金額に出来ないほどの価値をもつ。
それだけではない。見てはいけないものを目にしてしまったとの罪悪感が、引け目となってアスカの命令に逆らえなくなる。念のために二枚のショーツを重ねて、性器の形が窺えたりしないようにしたうえで、アスカはシンジを待ち受けた。
アスカの作戦は見事に成功した。いや、予想以上の結果を生んだ。
どう考えても風の吹く甲板に、ミニのワンピースで出てくる方が悪いのだ。それは、階段をマイクロミニで昇っている女が、後ろにいた男を覗きあつかいするようなものだった。因縁をつけたといってもいい状況だったが、女の子ずれしてない、いや世間ずれしていない気弱なシンジは、初対面の場でアスカに心理的弱者の地位に押しやられた。
アスカの思惑は当たった。
第六使徒ガキエルのダブルエントリーを皮切りに、イスラフェル戦でのユニゾン特訓と、シンジを使徒戦役のパートナー化することに成功した。そのうえ、シンジと同居して、家事全般を押しつけ、下僕あつかいできた。
使徒撃破スコアダントツトップのエースを、小間使いとする。さらに、シンジとレイの接点がほとんどない状態に持っていけた。
他覚的にも、主観的にもアスカにとって、満足できる日々が続いた。
第八使徒サンダルフォン戦で、シンジに命を救われたことも、アスカの自尊心を満足させた。生身で煮え立った天ぷら油に飛びこむに等しいフィードバックに耐えて、シンジがアスカを救った。これは、シンジが己の命よりもアスカを大切だと認識していること。
他人よりも優先される。アスカが何よりもうれしいことである。
アスカとシンジの関係は、このあと第九使徒、第十使徒、第十一使徒と良好であった。
それが崩れたのが、第十二使徒戦を前にした休日だった。
初恋の相手加持とミサトの復縁を知ったアスカは、嫉妬心をシンジにぶつけた。
「キスしよっか」
少女が振り向いてくれないあこがれの大人への面当てに選んだのは、もっとも近くにいた少年であった。
性への第一歩、キスという愛情表現を、大人への入り口にした少女は、その行為中に抱きしめるどころか何一つしてくれない少年に不満を覚え、うがいするという行為で傷つけた。
そしてシンクロ率が逆転、唯一シンジより優秀であったものが失われた。
アスカの足下が崩れた。
シンジよりも優位に立つことで、己の存在を確保していたアスカの精神が不安定になった。
そこへ第十二使徒が襲来した。
シンジの喪失。
アスカはわずかなプライドと引き替えに、パートナーを失った。
生死の境をこえて帰還したシンジの元に、顔を出したアスカは、そこに蒼い髪の少女を見つけて、逃げだした。
「あのときは、目の前が真っ暗になったわ。アタシが座るべきシンジの隣にレイが先に来ていた。ああ、もうアタシには入りこむ隙間がない。そう思ってしまったもの」
アスカはため息をついた。
あのころの、自分がどれだけ狭量だったかと思うと赤面してしまう。そのくせ、大人よりも沈着であり、同世代とは隔絶した知性と経験を持っていると信じきっていた。
「子供だって馬鹿にしていたシンジが、アタシよりずっと大人だった」
今では、素直にそれを認めることができる。アスカは、シンジが自分よりも優れたところを持っていることを、誇りに思っていた。
「世界で一番いい男を掴まえたんだもの。アタシが世界一の女との証明」
アスカは、胸を張った。大きな乳房が、ゆったりと揺れた。
「ま、まあ、身体だけなら、レイもちょっとしたものだけど」
アスカは、記憶喪失がきっかけで偏食を克服したライバルの身体を思い浮かべた。
大親友となったレイとは、なんども一緒に風呂に入ったことがある。一昨日もネルフの大浴場でばったりと出会っている。
記憶喪失が功を奏し、偏食を無くしたレイのプロポーションは、アスカでさえたじろぐほどのものとなっている。
「アンタ、また胸が大きくなったんじゃない? 」
一昨日、脱衣場で窮屈そうにブラジャーをつけるレイにアスカは問いかけた。
「ええ。まだ二センチ増えたわ。ウエストは変わらないのに」
レイが、嘆息した。
「そのブラEカップでしょう? 肉がはみ出してるわよ」
「また買い換えなければいけないのね。お金がかかるわ」
レイが暗い顔をする。
「人のことは言えないけど、そこまで大きいと肩凝るでしょう」
「肩が凝る? わからないけど、重いし、息苦しい」
レイがつらそうな顔をする。
「合ってないブラしているからよ」
「そう。じゃ、外せばいいのね」
レイがブラのホックを外した。途端に押さえつけられていた肉が包んでいた布を弾く。
「はあ、なに食べればそこまで大きくなるのかしら」
アスカが、驚きを口にした。少なくともサードインパクトまでは、アスカがまさっていたのだ。
「ふう。息ができる。もう、これいらない」
レイがブラを捨てた。地肌に直接ブラウスを着ようとする。
「駄目よ。透けて見えるでしょう」
「気にしないわ」
「アンタが気にしなくても、回りが気にするの。特に男はね」
アスカはレイをいさめた。アスカの人気をこえるほどレイにはファンが多い。
「男? 興味ないわ」
レイが、あっさりと切って捨てる。
「わたしの過去を知った途端に逃げだすような連中、どうでもいい」
吐きすてるように言ったレイの目がうっとりと変わる。
「わたしには、碇くんだけが居てくれればいいの」
「あのね。だから何度も言うようだけど、シンジは今週末にアタシと結婚するんだからね」
アスカが、妄想に入りそうなレイを止める。
「関係ないわ。結婚はあなたと碇くんの問題。わたしは介入しない。だから、あなたもわたしと碇くんの仲に口を出さないで欲しいの」
レイが言う。
「そういうわけにはいかないわよ。シンジはアタシの男。他人と共用する気なんてないわ」
アスカが、断言する。
「わたしには碇くんと強い絆がある。それはあなたでも切ることは出来ない」
「確かにそうだけどね」
アスカがため息をついた。
ここまでレイがシンジにこだわるのは、記憶を失って最初にレイの世話をしたのがシンジだったことに起因する。
卵からかえったひよこが、最初に見た動くものを親と思いこむ。そう、インプリンティング現象である。
レイは、引き離されてからも、再会してからもずっとシンジだけを想い続けていた。
「大きくなったらパパのお嫁さんになるの」
多くの女の子が幼稚園のころに言いだすせりふを、レイは十六歳になってから口にした。
その後、二年でレイは四年分の精神的発育を見せ、十八になったときには女子中学生が、学校の体育の先生に憧れるがごとく、シンジに初恋し、二十歳で女子高生のように、シンジを熱い眼差しで追った。
そんなレイをアスカが黙ってみていたのは、それが彼女を人らしくしていく、女の子にして行くに必要な課程だとシンジから諭されたからだ。
シンジに言われたから我慢していたが、二人の間にある絆を感じさせられて、アスカはつらい思いをしていた。
「まったく、ちょっとは女心に気がつきなさいって言うの」
アスカは、シンジの優しさを呪う。
「もう一度、誤解してやろうかしら」
アスカは、シンジがレイのことを好きだと信じこんでいたころを思いだした。
シンクロ率で抜かれたとき、己から溝を作ったことにアスカは気づいていた。
ディラックの海にシンジが捕まったのは、アスカがあおったせいである。
それだけならまだ修復の余地があった。シンジが救出された後、目覚めるまで側についていればよかった。
そして目覚めたシンジに、「おかえりなさい」と一言かければ、二人の仲は修復できた。
だが、アスカのプライドが、不必要までに高く分厚い自尊心が、それをさせなかった。
「独断専行、自業自得よ」
アスカは、シンジを罵ることで罪悪感を薄くしようとした。
シンジが目覚めたと聞くまで病院に行かなかった。
アスカがいるべき場所に、レイが座った。アスカは、自らの手でパートナーを捨てた。
三人で星空を見あげた夜も、ミサトをふくめた四人で食事をした晩も、もうアスカの手の届かないところに行ってしまった。
アスカの心が、崩壊し始めた瞬間であった。
碇シンジの日記
2015年12月15日
奇跡ってなんだろう? ありえていい話でないことが、起こることが奇跡だと思っていたけど、そんなもんじゃなかった。いや、奇跡でもなかったのだろう。
ミサトさんの口から出たら、奇跡もその辺の犬が子を産んだ程度に聞こえちゃうんだよなあ。
今度の使徒は、成層圏から自爆してくるタイプだった。
直撃を受ければ、第三新東京市が壊滅するだけでは済まずに、富士五湖と太平洋が繋がる状態になるほどの破壊力をもっているとリツコさんが言っていた。
こんなときに限って父さんはいない。
すべての責任を負うために総司令が居るんじゃないの?
総司令自ら南極に行かなきゃいけない理由でもあったんだろうか?
まさか、ペンギンを見たいなんて理由じゃないよね。
だいたい総司令が出向かなきゃならないなら、副司令が残るのが普通じゃないの?
二人そろって同じ所に出かけたりして、事故でもあったらネルフは最高幹部二人を同時に失うことになるんだよ。
中学生にもわかりそうなことなのに。
まあ、父さんが居ても役にたったとは思えないけど。
ミサトさんの発案で、落ちてくる使徒をエヴァ三機で受け止めることに決まった。
ユニゾンといい、ミサトさんはどうしてこう無茶な発想をするかなあ。成層圏から落ちてくる物質がどれほどの力を持っているかぐらい、中学生の理科のレベルで計算できるよ。
僕は出来ないけどさ。アスカなら暗算でやっちゃうよ?
そのうえ、エヴァの配置を女のカンで決めるし。ミサトさんの女のカンが優れているなら、加持さんともっと早くにうまくいっていると思う。いや、加持さんじゃなく日向さんを選ぶはず。
加持さん、アスカを手なずけて、どうするつもりなんだろう?
29歳が14歳に手を出したら犯罪だ。今はアスカがまとわりついているだけだけど、白人の血が混じっているアスカの発育は、かなりいいからなあ。あと二年もしたら……
いけない。まだ、一日にあったことを書いている段階で勃起しちゃった。
幸い、ミサトさんもアスカも寝静まっているから、今の内に一回……
ふうう。ティッシュの用意が間に合わなかった。パンツについちゃったよ。こっそり洗わないと、アスカに見つかったら、殺される。
うう、日記の途中だけど、シャワー浴びよう。ねちゃついて気持ち悪い。
ああ、さっぱりした。
お風呂は命の洗濯よって、ミサトさんが言ったけど、自家発電は男の洗濯だね。貯めるとろくなことがないからなあ。学校で勃起したりしたら、一生同窓会でからかわれることになるし。
ケンスケ以上の変態あつかいされるのは、嫌だ。
それに、プラグスーツのときに、大きくなると痛いんだ。隙間なくくっつくからね。あれ。
レイのプラグスーツで昂奮して一回立っちゃったときは、折れるかと思った。
スーツの設計リツコさんなんだろうなあ。女の人は大きくなるところがないから、わからないんだろうけど、ちょっと考えて欲しい。
僕が毎日のように放出しているのは、エヴァ搭乗の任務に支障が出ないようにとの配慮なんだからさあ、ネルフから支給して欲しいよ。本とティッシュ。
いつも頭に思い浮かべた相手ばかりじゃ、刺激が薄くて。たまには視覚を満たしたい。
でも、そういう本を部屋に隠しているのが見つかったらと思うと……ぞっとする。
ミサトさんは、からかうだけだろうけど、アスカは許してくれないよなあ。部屋たたき出されるだけで済むかなあ。
待てよ、この部屋から出られれば、家事をしなくていいし、好きなときに出来るようになるんだ。アスカと同居しているから、あれしろ、荷物持て、アイス買ってこいって使われるんだ。別居すれば、僕は自由だ!!!!!
ケンスケが持っているモロ見えのビデオを部屋で見ることだって出来るんだ。
一人暮らしバンザイ!!
でも、そうなるとアスカの湯上がりバスタオルや、ノーブラタンクトップホットパンツ姿を見れなくなるんだ。
あれだけの美少女の無防備な姿って、お金を出しても拝めるものじゃない。
なにより、アスカの笑顔を、おいしそうにご飯を食べてくれるときの表情が見れなくなるのは、嫌だ。
ひょっとして、僕、アスカのことが好き?
そうか。そうだったんだ。
だから、マグマに飛びこめたし、落ちてきた使徒を支えきれたんだ。
アスカを護りたい。
もっとも、僕がそんなことを言ったら、
「アンタ、馬鹿? 百年早いわよ」
「アタシのことを好きになるなんて、身の程知らずもいいところよ」
って、怒鳴られるだろうけど、心のなかで思うぶんにはいいよね。
いつか、使徒が来なくなって僕とアスカが恋人同士になれたら……
「好きだよ、アスカ」
「アタシもよ、シンジ」
告白を受けてくれて、僕とアスカは恋人同士になった。
そっとアスカが目を閉じる。僕はゆっくりとアスカの桜色の唇に近づいていく。
初めて触れたアスカの唇は、さっきまで飲んでいたダージリンの匂いがした。
触れるだけのキス。僕とアスカが直接繋がっている。
「はああ」
アスカが吐息を漏らす。
僕は、キスをやめてアスカの耳に、愛をささやくように息をかける。
「綺麗だよ」
「ばかぁあ」
アスカが甘く僕を叱る。
僕はうっとりと目を閉じているアスカの胸に、大きく膨らんで誘っている乳房に手を伸ばす。 いきなり服の下に手を突っこんだりしたら、蹴りとばされる。
僕は服の上から、そっとアスカの胸を触る。女の子が着る衣装独特のすべすべした手触りの下に、しっかりとした固まりが、弾力のある膨らみが、僕の手を押しかえしてきた。
「だめ。まだ、早いわ。結婚するまで綺麗な身体でいたいの」
アスカがそっと僕の手を掴んで、たしなめる。
「触れたいんだ。アスカに」
僕が、そう強請ると、アスカは手を離してくれた。両手で僕の首を抱く。
「やさしくして」
「うん」
アスカの服のボタンを外し、手をそっと差しこむ。ブラの手触りが、僕を昂奮させた。
「あっ」
ブラのカップを撫でていたら、アスカが身体をびくつかせた。手のひらにちょっと固いものがさわる。
アスカの乳首。
僕はそこを重点的にさする。
「だめ、そこ」
布越しなのに、アスカは気持ちいいのか、首を振っている。
「もう、我慢できないよ。アスカ、君を僕のものにしていい? 」
僕は、アスカの耳にささやく。
「うん。アタシをシンジのものにして」
耳まで真っ赤になったアスカが、小さくうなずいてくれた。
僕は、勇んでブラを上にずらす。
アスカの小さくて、淡い乳首が僕の目に飛びこむ。
そっと顔を近づけた僕の鼻に、アスカの匂いが……
うっ……二回目なのに、またパンツ汚してしまった。
僕って最低だ。好きな女の子でこんな妄想をするなんて。
アスカはシンジの日記を手放した。
「ふうううん。アタシを捨てて、エッチなビデオや本に埋もれる生活をしたかったんだ」
アスカの蒼い目が鋭く光る。冷たい表情をしたとき、蒼い目はなにもかもを切り捨てるかのように怖ろしくなる。
「生身のアタシより、二次元がよかった訳か」
そこまで言ってアスカの表情が変わった。
「でも、やっぱりシンジはアタシのことが好きだったのね。そうじゃないかなあとは思っていたんだけど、はっきりしないから」
アスカは嬉しそうに笑う。
「アタシを護りたいですって」
アスカが身を揉む。
「アタシと恋人同士になれたら、こんなコトしたいだなんて……」
アスカの顔色が変わった。
「アタシとシンジは婚約しているわ。ということは恋人同士。
なのに、あいつはアタシの胸を触ろうともしない。まさか、心変わり?」
アスカが、小さく震える。
「許さないわ。アタシを捨てるなんて絶対にさせない。ひょっとして、レイに心を移した? 」
恐怖の色をアスカの瞳が浮かべる。
「シンジ……お願いだから、証拠をちょうだい。シンジがアタシのことを好きだという証拠を」
アスカが、シンジの枕に顔を埋めた。