碇シンジの妄想日記

2ページ目 -蒼き少女のコスプレ編-

ぽん太さん
注: この作品は一応R指定とさせていただきます。(管理人)

「なんなのよ、これぇ。不潔よ、ふけつ」
 アスカは、親友の口癖をわめきながら、手にしていた大学ノートを投げ捨てた。
「ミ、ミ、ミ、ミサトごときに、よ、よ、欲情してんじゃないわよ」
 アスカは全身を振るわせて、怒りをあらわにする。
「『僕にとって、この世の中で女であるのは、アスカだけだよ』なんて囁きやがったのは、どこのどいつよ。『君の一生とは言わない。でも、僕が死ぬまでは君を独占させてくれないか』ってプロポーズしたのは、誰なのよ」
 アスカの怒気は、天井を焦がさないばかりになっている。
「ゆ、許せない。乙女の純情をもてあそんだわね。シンジ。9年もアタシを騙し続けてきたのね。病院でアタシに言った言葉からずっと嘘だったわけか。ふん」
 アスカは、9年前の夏、2016年8月5日のことを思い出した。

 サードインパクトが起こったのは、2016年7月31日。
 いろいろあって、アスカが病院で目を覚ましたのは、5日後だった。
「ここは………」
 病院で目覚めたアスカは、そこが何処かわからずに戸惑った。
「目が覚めたんだね、アスカ」
 声をかけてきたのは、シンジである。
 シンジはアスカのベッド脇にパイプ椅子を置いて、そこに座っていた。
「アンタが、なんでここにいるのよ」
 アスカの声は重い。
「アタシの首を絞めたこと忘れたとは言わせないわ」
「わかっているよ。僕だって自分のやったことぐらいわね」
 シンジの声も暗い。
「わかっていて、よくもアタシの隣に居られるわね」
「他に行くところがないからね」
 シンジも冷たい声になる。
「どういうことよ」
「僕もアスカも監禁されていると言うことだよ。サードインパクトを起こした実行犯としてね」
 シンジが淡々と言った。
「なんでアタシたちがサードインパクトを起こしたのよ。アタシたちはサードインパクトを防ぐために命がけで戦ってきたんじゃないの」
 アスカが、激した。
「騙されていたんだ、僕たち」
 シンジは意外と冷静である。
「騙されていたって? 」
「ああ。使徒では、サードインパクトは起こせなかったんだよ」
「はあ、アンタなに言っているの? 使徒がジオフロントの地下にあるアダムに触れると、サードインパクトが起こるって決まっているじゃない」
 アスカが、妙なことを言うなとばかりにシンジを責めた。
「アダムじゃなかったんだよ。地下にあったのは第二使徒リリスだったんだ」
「嘘」
「僕がアスカに嘘を言う理由があるかい。いまさら、いい格好を見せようにも、都合のいいことを吹き込もうにも、アスカには僕の1番醜いところを見られているんだよ」
 シンジが寂しそうに笑った。
「…………」
 アスカは黙った。

「そもそもセカンドインパクトの原因を知っている? アスカ」
「隕石じゃないことぐらいわね」
 アスカが応える。
「あれはね、ミサトさんのお父さんが、南極で発見された第一使徒アダムからS2機関を取り外そうとして失敗したことで起こったんだよ。暴走したアダムは、南極を巻きこんで大爆発を起こした。つまり、インパクトはアダムだけで起こせる。ただ、アダム一体ではセカンドインパクト規模が精一杯なんだけどね」
 アスカはシンジが語るのをじっと聞いていた。
「知ってのとおりゼーレは、人類全部をLCLに還す規模のインパクトを画策した。それにはアダムだけでは足らない。アダムとリリス、始まりの二つの使徒が暴走して初めて、全世界を覆い尽くすだけのアンチATフィールドの展開に必要なエネルギーが生まれる。だから、使徒たちが普通にアダムに触れたところでインパクトは起こらない。使徒たちがアダムに吸収されるだけ」
「アダムに吸収されるってどういうことよ」
「リリス以外の使徒はすべて、セカンドインパクトで爆発したアダムの破片なんだ」
「アダムの破片………じゃ、アタシたちがやってきたことは無駄だったの? 」
「インパクトを防ぐという意味ではね。インパクトを起こすためにエヴァは造られたんだから」
「わからないこと言わないでよ」
 アスカが頭を抱えこんだ。
「ごめん、目覚めたばかりのアスカには辛すぎたね。サードインパクトを起こすよりしろとされたときに、僕はすべてを知った。いや、知らされたんだ。大人たちの手のひらの上で踊らされた僕たちチルドレンの正体をね。辛かったよ。心が割れそうだった。その痛みをわかってくれるのはアスカだけだと、また君に縋ろうとしてしまった」
 シンジが、いつものような上辺だけの謝罪ではなく、心底から頭を下げていることが、アスカにはわかった。
「もう少し、休んでよ。アスカ。僕が側にいては嫌だろうけど、ここから出ていくことはできないんだよ。国連の査問が終わり、そして僕たちの処遇が決まるまではね」
「処遇? 」
「ああ、人類の救世主となるか、あるいは、大量殺戮者とされるかのね」
 シンジの瞳が、深淵の闇のように暗くなる。
 アスカは、その井戸の底へ墜ちていくような気がした。

「あの時でもシンジは、嘘は言わなかった」
 アスカは現実に戻った。
 実際、アスカとシンジの命を生け贄に、混乱を収拾しようとしていた人間は多かった。 国連、日本政府、戦略自衛隊、そしてネルフ。

「そうよ。シンジがアタシに嘘をつくはずはないわ。一時の気の迷いよ。確かにミサトは、見てくれだけは一級品だから。まあ、アタシの足元にも及ばないけどね」
 アスカは、立ちあがって背筋を伸ばし、髪を掻きあげた。
「身長が低いのだけが、なんだけど、上から87-54-88のサイズは伊達じゃないわ」
 シンジという、がちがちの恋人が居るにもかかわらず、アスカに言い寄る男の数は、減るどころか増え続けている。

 外見だけや、世界の救世主、勇ましき女神などの称号に惹かれてくる男たちにアスカはまったく興味がない。

 アスカの身体に触れていいのは、ただ一人。
 そう、紅茶色に輝く髪を梳けるのも、ピンクのバラのような唇に唇を重ねることができるのも、たおやかな肩を抱いていいのも、母性を主張する膨らみに触れて形を変えられるのも、細い腰に手を回すことも、髪の毛と同じ飾りをもつ女に男をあてがうことを許されるのも只一人きりなのだ。
「シンジだって、アタシにべた惚れなんだから。アスカ、冷静に行くわよ」
 アスカは、放り投げた日記を再び手に取った。

碇シンジの日記

 2015年8月4日

 日記2日目だけど、書くことが多すぎる。平穏な14年は、ひょっとして神様が僕に先渡しにくれた日常だったのかも知れない。ここから先は、ずっと地獄なんだろうか。
 やだなあ。なんか妙なものに一生涯取り憑かれそうな気がする。

 指定されたリニアに乗った僕は、降車駅の二つ手前で降ろされた。非常事態宣言がでたからだ。駅を放り出された僕は、迎えのミサトさんと遭えるわけもなく、おろおろするしかなかった。  そこへ、戦闘機が墜ちてきて、あれよあれよという間に、ミサトさんの車に積み込まれて、気が付いたら、変なロボットの前に立っていた。

 僕が乗らなければ、この子が乗ることになるんだぞと父さんが、運んできたのが、レイとか言う女の子だった。
 怪我をしているのか、包帯を巻いていたけど、妙な服を着ていた。
 コスプレって、一瞬思ったけど、違うんだろうなあ。
 これ以上身体の線を表現できる服は有りませんと言わんばかりに、貼りついた服は、なんかつるつるで、細い首から鎖骨も。年相応よりちょっとだけ大きめの胸も、折れそうな腰も、かもしかのような足も、ばっちりわかった。
 それと倒れた彼女を抱き起こしたときに感じた匂い………僕が生まれてこの方嗅いだことのない良い匂いだった。
 それに柔らかかったし………

 この子を守らなければいけない。僕は、そのとき本当にそう思った。
 そして、変なロボット………金髪泣きぼくろのお姉さん(なぜか、おばさんと書こうとしたら、背筋が寒くなった)は、人造人間と言い張っていたに乗った。

 でも、乗りたくて乗ったんじゃない。
 妙な水は出てくるし、それに文句をいったら「男の子でしょ我慢しなさい」ってミサとさんは怒鳴るし。
 ミサトさんが、父さんの再婚相手でないことはよくわかったけど、「逃げちゃ駄目よ、お父さんから、なにより自分から」って、僕は逃げるなんて言ってないのに。わかったようなことをいわないで欲しい。
 あの時僕は、
「いきなりこんなロボットにのれって。説明してよ」って頼んだだけなのに。

 ミサトさんは、僕のことなんかどうでも良いんだ。
 義母さんじゃないんだ。僕は要らない子供なんだ………

 その後のことは良く覚えていない。
 腕がへし折られ、頭を槍のようなもので割られたような気もするけど、今はちゃんと動く。頭はちょっと痛いけど。

 目が覚めたら知らない天井だった。当たり前だけど。先生の家の庭の物置の天井以外は全部知らない天井なんだから。

 目が覚めたら、ミサトさんと金髪泣きぼくろのお姉さんから、質問を受けた。
 金髪泣きぼくろのお姉さんは、リツコさんと言うらしい。知的な美人だ。
 最初に会ったときは、ハイレグ水着の上に白衣を羽織っていた。ミサトさんには及ばないけど結構大きかった。
 なにより、ミスマッチなコスプレが、妖しい魅力だったんだけど、ばたばたしていて脳裏に焼き付ける暇がなかった。もう一回やってくれないかなあ。
 ミサトさんの写真と同じくらいの破壊力があるんだけど。
 予備として欲しいな、リツコさんの写真。
 
 話がそれちゃった。

 結局、一晩この病室で寝てなさいって一人にされた。

 疲れすぎて寝られないというのは、誰にもあることらしい。
 天井をじっと見ていると、あの子、レイを思い出す。
 蒼い髪に紅い瞳。
 あんなに綺麗な人は生まれて始めてみた。
 あの顔、あの唇、あの首、あの胸、あの腰………あの匂い。
 抱きしめると折れそうなんだろうな。
 あの薄い服を脱がせば、その下に隠れているのは、あわやかな膨らみとピンク色突起。
 あそこは、髪の毛と同じ色なんだろうか? ひょっとしてはえていないかも………

「碇くん、初めてなの………」
「僕もだよ」
 僕は、震えるレイの唇に熱いくちづけを送る。
 じっとしているとレイが息苦しさに唇をほんの少し開ける。そこに僕は舌を突っこむようにいれて、口の中を蹂躙した。僕の舌が、レイの歯茎を嘗め、レイの舌が、僕の舌を押しだそうとする。
 レイと僕の唾液が混ざり合って………
 ハアハアハアハア………

「うっ………」
 僕って最低だ、あんな怪我人でイクなんて………

 明日の朝はリツコさんにしよう。

「み、み、妙なものに一生涯取り憑かれるですって………ええ。取り憑いてやるわよ、死ぬまでいたぶってやるわよ」
 アスカは、頭に血が昇るのを自覚した。
「ミサトだけじゃなくて、レイ、そのうえ、リツコまで………ふふふふふ、ころしてやる」
 アスカは地の底から這うような声を出して、次のページをめくった。

「なにより、早すぎるわよ、シンジ。キスだけでイクなんて。そんななさけない男に育てた覚えはないからね」
 アスカの妄想も始まっていた。

8月13日に続く
初出: 2005/06/02
Author: ぽん太さん
はい、ぽん太さんより妄想日記二ページ目を頂きました。
前作より妄想度20%off(当作者比)で、怪しい度も20%off(当サイト管理人比)ですが、
このまま怪しい展開になると信じて(爆)R指定とさせていただきました。
…で、シンジ君、早いですねぇ…キスだけでなんて…(違う)
このまま続きを期待しましょう(ニヤリ)

そんなわけで怪しい展開の続きをご所望の方は是非、ぽん太さんにご感想を!!
WebMaster: AzusaYumi