惣流・アスカ・ラングレーは、碇アスカになった。
2015年9月20日に知り合い、共に戦い、共に住み、ほのかな想いを交錯させ、憎みあった二人は、9年の月日を経て、ついに華燭の典をあげた。
「神の使いを殺したアタシたちに、その祝福は似合わないわ」
アスカの提案で、結婚式はジオフロントで行われた。それぞれの母親の魂が込められたエヴァンゲリオン初号機、同弐号機の前で二人は永遠の愛を誓った。
問題はその後である。
国際連合地域紛争主席調停官碇シンジとネルフ総本部外交局第一課課長惣流・アスカ・ラングレー、今の身分だけでもかなり人付き合いは世間離れしているが、それ以上に世界の救世主、旧支配体制からの解放者の肩書きは、迫力がある。
「アタシたちが呼びたいのは、これだけ、あとは勝手にして」
早々と両手をあげて降参したアスカとシンジを蚊帳の外に、披露宴の会場、出席者は周囲の手で決められていった。
「シンジの主賓が、国連事務総長で、アタシの主賓がネルフ総本部司令。まあ、ここまではわかるわよ。でも、乾杯の挨拶がなんでアメリカ合衆国大統領なのよ。アタシ会ったこともないわよ」
当日になって、出席者一覧を見せられたアスカが、憤慨した。
「仕方ないだろう。アスカは、アメリカ国籍だからね」
シンジがなだめる。
アスカとシンジが、国連の糾弾から解放され、世界の救世主となったとき、各国の首脳はこぞって彼らをその国に招いて会談した。
国内向けのパフォーマンスであったが、それは彼らの意図した以上に効果を上げ、首脳たちの地位を安泰にしたが、時が経ち、任期に達した首脳陣は退陣して、二人と面識のない人物が多くなっていた。
「ドイツ連邦首相、日本国首相、イギリス国王代理皇太子殿下、ロシア大統領、EU議会議長、フランス国家首相、中国共産党書記長……まったく、ここでサミットでもするつもりかしら? 」
アスカがため息をつく。
「各国ネルフの代表はまあ良いとして、アンタの来賓のこれ、PLO議長とイスラエル首相を隣同士に座らせていいの? 」
「僕に訊かないでよ。この座席は全部国連の事務局がやったんだから」
シンジが情けない声をあげる。
「アタシたちの披露宴を国際政治の舞台に使うつもりね」
アスカが、腹を立てる。
「仕方ないよ。お互いの立場が、普通じゃないんだから」
「はあ。アンタはいつまで経っても流されるのが好きなんだから」
アスカが、シンジの頭を人差し指でつく。
「良いんじゃないかな。少しでも世界が平和になるなら、いくらでも僕らを利用してくれて」
「シンジらしいわ。自分よりも他人を先に考えてばかり。こんなお人好し、国際政治の世界じゃ、一日で身ぐるみはがされて捨てられるわ。寒空でぴーぴー泣いているアンタが、目に浮かぶわよ」
アスカは、脱力する。
「一緒に泣いてくれるんだろ? 」
「馬鹿。泣いているシンジを抱きしめてあげるの。そして、シンジをそんな目に遭わせたやつを蹴り飛ばしてやる」
アスカは、微笑んだ。
「ありがとう。やっぱりアスカを選んで良かった」
シンジが、アスカを胸に抱き寄せる。
「あら? アタシ以外に選択肢があったような言い方よねえ」
抵抗せずに寄りかかった、アスカの声が尖る。
「アンタには前科がある。レイの乳揉んだし、裸も見たし。ミサトとキスもした」
「そ、そんな昔のこと。レイとのことはアスカが来る前だし、ミサトさんとのキスは、か、家族のキスだよ」
「ほう。レイの乳揉んだ手は洗ったのかしらぁ? ミサトとのキスで舌入れられたりしなかったぁ? 」
アスカはシンジの日記を読んでいる。全て知っている。
「済んだことじゃないか。それに14歳の頃、アスカは僕のことを嫌っていたじゃないかあ」
シンジが抗弁する。
「そうだったわね。アタシとシンジは二人で閉じこめられ、いがみ合わされた」
アスカの肩が小さく震える。
「……アスカ……」
シンジが、そっとアスカの肩に手を回す。
「いやな思い出だけど、でも、あそこから僕たちの歴史は動いたんだ。オーバーザレインボーで始まり、第16使徒アルサミルで一度止まった歴史が」
「シンジ……」
目をつむってアスカが顔を上に向ける。
シンジがアスカの顎に右手をあてて、そっと口づけをした。
2016年の夏、サードインパクトの中心にいた三人のチルドレンは、国連の監視下にあった。
リリンの遺伝子を持っていたファーストチルドレン綾波レイは、すべての記憶を失う代わりに完全な人になった。
セカンドチルドレン惣流・アスカ・ラングレー、サードチルドレン碇シンジは、サードインパクトの事情聴取のために同じ部屋に監禁されていた。
サードインパクト前から体調を崩していたアスカは、量産機戦で付けられた傷の影響もあってベッドから起きあがることができず、事情聴取は、シンジ一人に行われた。
15歳になったばかりの少年を数人の大人が取り囲んで取り調べとは名ばかりの、つるし上げだった。
彼らは生け贄を欲していた。
国連としてセカンドインパクト以降の混乱した世界に君臨してきた彼らは、サードインパクトを防げなかった責任を、子供たちに押しつけようと画策していた。
「僕がやりました」
その一言を言わせるために、彼らは圧迫面接をつづけたが、サードインパクトで一度人類を滅ぼしたシンジにはこたえなかった。
「アタシの目の前から消えろ」
シンジにはアスカにこう言われる方が、はるかに辛かった。
アスカの遠慮無い罵声は、確実にシンジの心を削っていった。
ようやくアスカが、ベッド上に起きられる程度に回復したころ、シンジがついに限界を迎えた。
きっかけがなんの言葉だったかアスカも覚えていないが、いつものように悪口雑言を浴びせていたら、不意にシンジが叫び声をあげた。
「わああああああ」
「な、なによ。大声で脅かそうたって、そうはういかないわ」
アスカは思わず身を引いた。
「僕だけが悪い訳じゃないだろう。アスカだって加害者じゃないか。自分がエヴァに乗れなくなったからって僕にあたって、使徒相手に何もできずに逃げだしたくせに。アスカが単独で倒した使徒が一体でもあった? 最後の使徒は僕がこの手で握りつぶしたんだよ。好きだっていってくれた友達を殺さなければならないのが、どれだけ辛いかわかりもしないくせに。アスカさえしっかりしていてくれたら、カヲル君が弐号機の新しいパイロットとして来ることも無かったし、僕が弐号機と戦わなくても済んだ。なにより、カヲル君を、カヲル君を消さなくてもすんだんだぁ。最後まで戦えないなら、最初からパイロットなんかにならなきゃよかったんだ」
シンジが、血を吐くような声でわめく。
「な、なにを……」
アスカが、シンジの剣幕にたじろぐ。
「自分だけ被害者のつもりでいないでよ」
シンジが、涙を流していた。
「…………」
アスカは言葉を無くしていた。自分でも気づいていたことを、必死に押し隠そうとしてきたことをシンジに指摘されたのだ。
アスカは、傲慢で人の意見を聞かないが、それは弱い自分を強く見せて、他人からの攻撃を避けるための抑止力である。本性は繊細でもろく、ウサギのように臆病なのだ。聡明なアスカは、シンジの言うことに最初から気づいていた。
エヴァンゲリオンパイロットの中で、もっとも役に立っていないのが誰かということに。
アスカは、役立たずなパイロットだと思われないように、自分よりスコアの優秀なシンジに偉そうな態度を取り、命令することで、周囲にシンジよりも凄いと見せたかったのである。いや正確には、自分自身がそう思いこみたかった。
それは、アスカの心の中を使徒に見られたときに崩壊した。深層心理までのぞき込む使徒の前に虚栄はなんの障壁にもならず、アスカは自分の弱さを見せつけられることになり、アスカは壊れた。
心の崩壊……追いつめられた少女が、圧迫に耐えかねてつぶれたように見えたが、実は、逃げたのだ。
アスカは重責とおのが存在が必要とされなくなる恐怖に震え上がって、心の闇に逃げ込んだ。
それをシンジに指摘された。
会ったときからずっと格上であり続けた、一段上から見下ろしてきた少年に、真の姿を見抜かれていた。
なにもかも知っていながら、ずっと知らない顔をしてきたシンジに、アスカは激しい疎外感を感じた。
泣きわめいているシンジが、アスカの知らない人物に見えた。
「い、いやああああ」
アスカは、シンジ以上の大声をあげて泣いた。
少しは回復したとはいえ、まだ生活の全てをシンジに頼らなければならないアスカは、見知らぬ人と化したシンジが怖かった。
自分が上の立場だと思えるから、女の子として我慢できないほど恥ずかしい着替えや入浴や排泄を押しつけることができたのだ。
アスカは、羞恥と恐怖とシンジに見捨てられる未来への絶望に、身を震わせて号泣した。
感情の発露は、より大きく出した方の勝ち。
先に泣いたシンジが、唖然とした。
プライドの固まりのアスカが泣き顔を見せたことにも驚いたが、身も世も無いという風情にのまれたのだ。
「あの……アスカ」
気づかう声をかけた段階で、シンジの負けは決まった。
アスカは、シンジが自分の知っているシンジに戻ったことを感じたが、泣きやまなかった。
我慢していたものが少し流れた。
この日から、シンジとアスカの仲は、修復に向かった。
決定的な状況を迎えるにはまだ日にちが必要だったが、アスカはシンジを罵る度合いを減らした。
そしてシンジは、アスカにちょっとやさしくなり、大人たちへはかなり強くなった。
「あの後よねえ。アンタが尋問で開きなおって、大人たちを糾弾しだしたのは」
アスカは、ずっとシンジに抱いていた感情の一つを思いだしていた。
「見た目と違って、シンジって頼りがいがあるのよねえ。ガキエルのときも、イスラフェルときも、サンダルフォンのときも、結局アンタに頼りっぱなしだった」
「結局、僕は、最初からアスカが辛い思いをするのが、耐えられないほど嫌だったんだよ。だから、アスカを殺戮者にしないようにって……冬月司令やミサトさん、リツコさんのフォローも良いタイミングだったしねえ」
シンジが、懐かしい顔をする。
「ミサトって、無茶な作戦しかできないのかなって思ってたけど、ああいう緻密な計画もたてられるなんて、驚きだったわ」
アスカが、笑う。
シンジの反撃を待っていたかのように、ネルフも動いた。国連におさえられていた彼らだったが、水面下でひそかに動いていたのだ。
国連の秘密裁判になりそうだった、シンジとアスカのことをマスコミにリークした。
15歳の少年と14歳の少女が、エヴァンゲリオンのパイロットだったと公表し、世間の目を集めたのだ。
まだ幼い面影を残した二人の容貌は、サードインパクトの実行犯、30億人類の虐殺者、そのイメージとあまりにかけ離れている。人々は国連の尋問を公開するように求めた。
そこへ重ねるようにネルフは、ゼーレの正体と人類補完計画の内容を発表し、ゼーレと関わりの深かった世界の指導者たち、経済界の重鎮たちの名前を暴露した。
「作戦部長であったわたしさえ、報されていなかった使徒迎撃の真の目的を、子供たちが知っているはずもない」
楚々とした雰囲気でマスコミに出たミサトは、目を潤ませて世界にシンジとアスカの無実を訴えた。
続いてリツコが、MAGIのデーターを手に登場した。リツコはミサトと逆に感情を切り離した冷徹な科学者の雰囲気で、ネルフの真実を語った。
硬軟あわせた手法は、強いイメージを人類に与え、世論は一気に少年少女の免罪へと傾いた。
そこへ、ネルフは、最後の爆弾を落とした。
サードインパクトの真実を公表した。
人類を一度滅ぼすシステムとして使われた少年が、一人の少女への想いから、周囲の人々への思いから、人類をふたたび蘇生させた事実は、感動をもって迎えられた。
ゼーレとの関係を知られ、追放された指導者たちに替わって登場した政治家たちは、少年と少女を世界の救世主として遇した。
監禁を解かれたシンジとアスカだったが、二人は離れようとはしなかった。相変わらずいがみ合いながらも、シンジとアスカは、アスカの病室での同居を続けた。
そして、アスカの行動が、ついに二人を和解させることになった。
シンジとアスカの披露宴は、無事に終わった。
世界の救世主同士の結婚である。来賓はここで存在を見せつけておかないと、国民へのアピールが不足し、国際的な地位が下落するとばかりにあいさつをした。
乾杯から実にオードブルが出されるまで3時間半という時間がかかり、お腹の空いたアスカがぶち切れて、ようやく主賓のあいさつは終わった。
官僚に長々としたあいさつを考えさせていた日本国首相が、マイクを手にすることができずに恨めしそうな顔をしたが、アスカの一にらみで震えあがる。
「アイツ嫌い」
アスカにこう言われたら、明日にでも政権はひっくりかえるのだ。
シンジの友人代表鈴原トウジが、中学時代のシンジとアスカのことを暴露したり、アスカの友人代表洞木ヒカリが、うれし涙であいさつを最後まで言えなかったり、相田ケンスケの用意した二人の写真の中に、水着姿の綾波レイを見つめるシンジが映っていたりしたが、披露宴は無事に進んでいった。
そして6時間にもおよんだ披露宴の最後を締めくくったのは、シンジの親代わり加持ミサト、旧姓葛城と、アスカの親代わり加持リョウジであった。
「シンちゃん、おめでと……」
二人が幸せになるまでと酒を断っていたミサトは、飲みすぎてまともにしゃべれなかったが、その両目を涙で光らせ、
「アスカ、シンジ君に一生甘え続けるんだぞ」
加持も喉を詰まらせた。
こうして、感動のうちに披露宴は終わった。
長くアスカの待った初夜も無事に終えて、シンジとアスカは、ハネムーンへと旅立つ。行き先は、中学校の修学旅行で行けなかった沖縄であった。
「チャーター機をご用意します」
世界中の航空会社が、名のりをあげたが、二人は首を振った。
「行けなかった修学旅行のやり直しなんですよ」
シンジとアスカは、ファーストクラスにご招待というのも断って、エコノミークラスに座り、2時間のフライトで沖縄に着いた。
ホテルにチェックインしたアスカは、急いで水着に着替える。
「えへへっへ、どう? 」
アスカが見せたのは、赤と白のストライプ柄でセパレーツの水着である。
「よく同じのを見つけたね。あの頃も似合っていたけど、今はもっと素敵だよ」
シンジは直ぐに気づく。鈍感だったシンジもアスカにしつけられて、言わなければならないことを忘れない。
「うん」
二人は一日泳いだり、プールサイドで寝転がったりして過ごした。
その夜、先にお風呂から出たアスカが待っているクイーンサイズのベッドに、シャワーで濡れた頭をバスタオルで拭きながら向かったシンジは、目を見張った。
「アスカ、それ……」
ベッドの上に腹這いになりながら、アスカはシンジの日記を読んでいる。
「返してよ」
シンジがアスカに跳びかかるが、さっとアスカはそれをかわした。
「だめよ。ちょうど修学旅行のところなんだから」
アスカが、真剣な顔で言う。
「サンダルフォンで行けなかった修学旅行……。行きたかったのに。アタシみんなと旅行するのなんて初めてだった」
アスカは寂しい声をだす。
「そうだね。僕は小学校の修学旅行を経験しているけど、あの時は、誰も友達がいなかったし……」
シンジもしんみりとする。
「だから、読み返しているのよ。今がどれだけ幸せかを思うためにね」
「だったら、自分の日記を読んでよ」
シンジが、日記に手を出すが、アスカにさえぎられる。
「アタシが日記なんて書いているわけ無いでしょうが。シンジとアタシは同じ経験をしてきたの。なら、アンタの日記を見れば思いだすのよ。あの頃を」
アスカは、シンジの日記を朗読し始めた。
碇シンジの日記
2015年10月15日
双子使徒を倒して4日が過ぎた。ユニゾン特訓の間だけ一緒に住むはずだったアスカは、未だに僕の部屋を占拠している。掃除もしないし、ご飯も作れないし、洗濯だってできやしない。あれで女だというのだからおそれいるよ。
学校じゃアスカのことを女神のように崇拝している奴が多いけど、現実を見せてやりたいね。
でも、パンツとブラを洗えるのは、役得。
偶像といえば、僕もアスカをそう見ていた。
元気で強くて、そして天才だと思ってた。僕なんかとは全然違う人間だと。
でも、それは間違いだった。
ユニゾン最後の日、目に涙を貯めながら「ママ……」って言ったときのアスカは、小さくてはかなげで、そして可愛い女の子だった。
あの夜以来、僕はアスカを敬遠するのを止めた。だって、あんなところを見せられたら、好きにならないわけにいかないじゃないか。
2015年10月16日
昨夜、アスカが激怒していた。
修学旅行に行っちゃ駄目って言われたから。アスカ凄く楽しみにしていたけど、命令と言われればどうしようもない。
せっかく加持さんにつきあってもらって新しい水着まで買ったのに……って僕に当たっても困るんだけどな。
僕も行きたかったけどこうなりそうな気がしていた。そう言ったら、
「飼い慣らされた男ってサイテー」って睨まれた。
仕方ないじゃないか、僕らが居ない間に使徒が来たら、世界が終わっちゃうんだから。
でもその代わり、ミサトさんはネルフのプールを開放してくれた。僕は泳げないからうれしくなかったんだけど、アスカが喜んでいたからいいや。
プールでアスカは自慢のボディを見せてくれた。
ちょうど熱膨張の勉強をしていたから、
「アタシも胸だけ暖めれば、もっと大きくなるかな」
そう言って目の前にオッパイを見せつけた。
ミサトさんほど大きくないけど、白くて柔らかそうで、触ってみたいと真剣に思った。
そうこうしていたら、使徒が見つかった。
浅間山の火山の中に使徒の卵があるだとかで、いつものように倒すんじゃなくて捕まえる作戦が始まった。
弐号機にしか耐圧仕様はあわないとかで、担当にはアスカが選ばれた。
僕は、アスカのサポートをするために、火口で待機していた。
戦いの内容は書きたくもない。
もう少しで、アスカを失うところだった。
アスカが死ぬと思ったら、目の前が真っ暗になって、思わず飛びこんでいた。
熱いと言うより痛かったけど、アスカの声が二度と聞けなくなる、アスカの笑顔を二度と見れなくなることに比べれば、たいしたことじゃなかった。
でもアスカ、お礼ぐらいは言って欲しかったな。
戦いを終えたご褒美に温泉宿に泊まった僕とアスカは……
「ねえ、シンジ……どうしてあんな無茶をしたの? 」
温泉あがりのアスカが僕に訊く。
「アスカがいなくなると思ったら、身体が勝手に動いていたんだ」
僕は応える。
「それって、アタシ期待して良いのかな? それとも戦力を失うのが嫌だったから? そうだよね。アタシったら家事もなにもできないし、シンジに辛く当たってばっかだものね。こんな女の子好きになってくれる人なんていない……」
アスカが肩をすくめる。
「ち、違うよ。僕は、僕は……アスカのことが好きだから。アスカを護りたいから」
僕は必死に告白した。
「本当? うれしい。アタシもシンジのこと好きになった。だって、女の子が命を救ってもらったんだよ。ありがとう、シンジ」
アスカが僕の頬にキスしてくれる。
「シンジ、一生アタシを大切にしてね」
「うん。大事にするよ」
「じゃ、証拠を見せて。アタシをシンジのものにして」
「いいの? 」
「これ以上女の口から言わせないでよ」
アスカが、真っ赤になって俯いた。
僕は、アスカにキスをして、ゆっくりと抱きしめた。
湯上がりのアスカからは良い匂いがして、僕はくらくらしそうだった。
「シンジ……」
力の抜けたアスカの身体をそっと横たえる。
浴衣の合わせ目をゆるめると、アスカの白い肌があらわになった。
横になっても流れないアスカの胸の膨らみ、その先にある薄いピンクの突起が、僕を誘っている。
僕はアスカの胸を、乳房を揉みながら吸いついた。
「あああ、やさしくして……」
アスカが吐息をあげる。ピンクの突起が見ただけでわかるほど固くなる。
僕は、もう我慢ができなかった。
アスカの浴衣の帯をほどく。白いパンツだけになったアスカは、恥ずかしさで顔を覆いながらも、耐えてくれている。
「恥ずかしいよ。シンジ」
「アスカ、綺麗だ」
僕は、その言葉しかでなかった。
ゆっくりと最後の砦を脱がせる。
そこには、アスカの髪の毛と同じ色の毛が、ほんの少しだけ生えていた。
「あ、アスカ……」
「そこ。だめ、触らないで……あああああっ」
僕の指が、柔らかいところに入って、アスカの声が……
「うっ……」
僕って最低だ……アスカに恩を着せてこんなことをしようなんて。
「止めてよ、アスカ。恥ずかしいよ」
シンジが、必死でアスカの口を塞ごうとする。
「ふふふん。やっぱりシンジは、最初からアタシのことが好きだったんだ」
アスカは、嬉しそうに笑う。
「いいじゃないか。好きになったんだから」
シンジが横を向く。
「ふふふ。拗ねないの」
アスカは、シンジの頬を指先でつつく。
「で、ねえ。アタシと本当にこういう仲になったご感想は? 」
アスカも真っ赤になった。
「最高だよ」
「本当に? 」
「嘘なんかついてないよ」
「一生涯大事にする? 」
「口で言ってもわからないなら……」
シンジがやけになった。
「この日記どおりにしてやる」
シンジがアスカの上に覆い被さる。
「ちょ、ちょっと。待ってって、あっ、だめ。首筋はああ。弱いの。ねえ、シンジ、お願い、愛してるって言って……」
アスカの抵抗が弱くなる。
「愛しているよ。アスカ。もう離さない」
シンジが、アスカの耳に息をかけるようにして告げる。
「あはっ。駄目ええ。ねえ。シンジ、やさしくして。昨日は、痛かったんだから」
アスカの甘い声が、部屋に響いた。
翌朝
「もう、こんなに跡つけちゃって。水着になれないじゃない」
アスカは、鏡の前で身体をチェックしながら、シンジに文句を言う。
「なら、部屋からでなきゃいい」
シンジは、アスカの背中から手を回して抱いた。
「えっ、ちょ、ちょっと、朝から……あああん、駄目だって、後ろからなんて、そんな……もう、シンジのケダモノ」
アスカの嬌声が、ベッドに沈む。
新婚旅行中ずっと二人は部屋から出てこなかった。
終わり